
新しい装置の開発を続けていたS氏は,とある産業機器のイベントで山洋電気のクローズドループステッピングシステム「SANMOTION Model No.PB」と出会います。営業担当者に話を聞くと,このシステムを採用し,飛躍的な改善を果たしたメーカーの事例があるとのこと。うまくすれば,自分たちにも適用できるのではないかと思い,詳細な説明を求めることにしました。
なかでもS氏が着目したのは,サーボモータに比べて低速域でのトルクが大きい点と,ステッピングモータ特有の「脱調」が無い点でした。E社の装置では短いストロークの位置決めが大半を占めていたため,低速域での高トルク特性が有利に働き,同等の位置決め精度を保ちながら駆動部のダウンサイジングなどの改善効果が期待できました。
E社はさっそく,「SANMOTION Model No.PB」の評価を開始しました。実際に動作させてみるとゲイン調整などサーボのような複雑なパラメータ設定は不要で,あらかじめ設定したポイント番号・プログラム番号を,汎用I/Oで指定するだけで簡単にシステムをコントロールできたため,評価工程はスムーズに進行。そして以下の結果を得ました。
搬送部分の性能向上を確信したE社は,ほどなく「SANMOTION Model No.PB」の採用を決断しました。そして新しい半導体製造装置に組み込むことで大幅な性能向上を果たしたのです。S氏は今回の採用についてこう総括します。
「今回,「SANMOTION Model No.PB」に出会ったことで,画期的な性能向上につながりました。信頼性はそのままで高速化できたことにより業界最高レベルのスループットが実現できました。搬送部分を約半分に小型化できたので,ユニットの追加搭載数が増えて,単位面積あたりの生産性が飛躍的に向上しました。また,従来のサーボシステムからの置き換えにより,駆動系のコストが約75%もダウンしました。」
E社の新たな装置は,ユーザーからも高い評価を得ています。同社の装置は今後も半導体製造を支えていくでしょう。