
“冷却効率の改善”に向けて,積極的に情報収集を続けていたY氏は,とある展示会で,さまざまなタイプの冷却ファンが展示された山洋電気のブースを訪れました。Y氏はまず,そのラインアップの豊富さに驚きました。
「営業担当の方に詳しく話を聞いたところ,標準的なDCファンだけでも40種類を超えるフレームサイズに,さまざまな風量・静圧のバリエーションが存在し,さらには静音ファン,二重反転ファン,防油・防水ファン,長寿命ファン,低消費電力ファン,CPU冷却など,あらゆるニーズに即応できるだけの種類が取りそろえられていることが分かりました。」(Y氏)
また,すべての冷却ファンで羽根バランスの測定をおこない,厳しい規格をクリアしたもののみを使用し,出荷検査も全数実施されているため,品質面においても大きな向上が期待できました。さらに,現在採用しているメーカーの冷却ファンと比較して,期待寿命が長いことも大きな魅力でした。
Y氏にとって有益だったのは,「最適な冷却ファンの選定ポイント」についてのアドバイスでした。
「開発途中だった電源装置の静音特性について意見を求めたところ,単に静音ファンを搭載するだけでは,だめだとわかりました。静音基準は満たせても,風量面において求められる性能が得られなかったり,搭載位置によっても騒音レベルが変わるなど,ファンのスペックだけでなくシステムインピーダンスなども含めて再検討する必要がある点を示唆していただきました。」(Y氏)
豊富なラインアップはさることながら,こうした技術的なアドバイスを得られたことで「大きな安心感に繋がった」というY氏は,新規電源装置開発にあたり,具体的な提案を依頼することにしました。
山洋電気はX社に技術者を同行して訪問し,当該装置の確認と打ち合わせを実施しました。装置レイアウトや仕様・条件をチェックしたうえで,冷却に必要とされる動作風量を検討しました。その後,吸気・排気のバランス確保に最適な構成を探り,ファンの取り付け位置や標準ファンの仕様変更などいくつかの提案をしました。
Y氏が,電源装置の試作品にて実機検証したところ,静音性を維持しつつ十分な冷却性能が確保できることが確認されました。
X社は山洋電気製の80mm角DCファンの採用を決定しました。山洋電気による技術サポートは続き,ハーネス加工をした量産試作にまでいたりました。
「山洋電気には,量産試作までの継続したサポートをいただきました。過去に使用していた冷却ファンにおいては,試作と量産試作での評価結果にバラツキが生じ,開発スケジュール遅延の要因になっていることが悩みの種でした。山洋電気の冷却ファンを使用することで,試作時のスペックを量産品でも維持できるようになったため,量産への移行がスムーズにおこなえるようになりました。」(技術チームA氏)
また,「短納期納品サービス」による冷却ファンの迅速な納品も,大きな満足要因のひとつとなりました。このサービスにより急な仕様変更にも対応できるため,開発・評価工程の短縮に貢献しました。
数ヶ月後,X社が満を持してリリースした新たな電源装置は,静音性に加えて長寿命化を実現し,その高い信頼性はユーザーから好評価を得ることができました。
Y氏はこう語ります。
「豊富なラインアップや高い品質に加えて,開発現場の課題に着目した技術サポートにより,当社の製品開発スピードが大幅に向上しました。今後も,その他の電源装置の性能向上を図るうえで,ぜひ色々相談したいと考えています。」