
クリーンエネルギービジネスの盛り上がりを背景に売電事業を検討する企業が増加するなか,住宅設備関連会社X社では事業の拡大を目指し,こうした企業を対象に太陽光発電システムの販売に乗り出しました。
太陽光発電システムの販売を開始するにあたり,複数社の太陽光パネルを取り扱うため,まずは導入試験をかねて自社で太陽光発電システムを構築することにしました。しかし,ほどなく太陽光発電システムにおいて非常に重要な役割を担うパワーコンディショナ(以下パワコン)について,いくつかの課題に直面することとなりました。
X社設計部長のM氏はこう語ります。
「今回のシステムは,試験も兼ねて複数社の太陽光パネルを使用することにしました。
太陽光発電システムを系統連系するには,電力会社から要求される電力協議資料(特性データ,技術説明書など)が必要になるのですが,今回のようにメーカーや型式が異なるパワコンを同一の系統に連系する場合は,それぞれの電力協議資料だけではなく,パワコン同士の接続試験データも求められます。しかし,どこのメーカーも他社製品との接続試験データはないため,パワコンのメーカー混在は非常に難しいということがわかりました。
そこで,どのパネルメーカーでも対応できるパワコンにしようとなったのですが…
通常,パネルメーカーは自社製造または推奨のパワコンを準備しているため,パワコンメーカーを統一しようにも太陽光パネルとの最適な組み合わせがわかりません。」
加えて,X社の見込み顧客の多くは北海道・東北地方に集中しているため,特に寒冷地域での使用に十分対応できる耐環境性能を持つことも不可欠でした。
「信頼性は最重要なポイントですので,周囲温度による制約を受けない高性能なパワコンが求められました。」(M氏)