
急速に普及を続ける産業用太陽光発電。2014年6月には改正電気事業法の成立により,“電力小売りの完全自由化”が実現され,電力市場の開放は一般家庭などの小口需要にまで広がることになりました。こうした状況を背景にさまざまな業種・業態が電力市場への参入を進めており,各社が多様な取り組みをおこなうことで,ビジネスのすそ野を広げています。
F社は,太陽光発電システムインテグレータとして,太陽光パネルやパワーコンディショナ(パワコン)などから成るシステムの設計・施工,運営サポートを一貫して手掛けています。中心はミドルソーラで,特に200kW以上のシステム構築に多くの実績を持っています。
しかし,太陽光発電システムの構築について,いくつかの課題を抱えていました。F社技術工事部のE部長はこう語ります。
「太陽光発電システム構築の課題の一つとしてよく挙げられるのが,設備コストの削減です。
今,当社が主に使っているパワコンは,直流入力が2回路のものです。それを用いて200kW以上のシステムを構築しようとすると,通常,パネルやパワコン,接続箱の他に集電箱が必要となり,設備コストを増大させる原因になっていました。」
また,それによって,施工に多くの作業工数がかかることも課題の一つでした。
「集電箱とパワコンとの接続には,200mm2の太い配線ケーブルが必要となります。太いケーブルは割高であるうえ,その太さと重量は配線工数が多大にかかる原因になっていたのです。」(E氏)
ケーブルを扱う作業員の人数確保や,それにともなうスケジュール調整に手間取るケースが多く,これも材料費や工数を増加させる一因になっていました。
「お客さまにとって最適なシステムを構築するためにも,こうした問題を解決する必要がありました。」(E氏)