
新製品開発のため情報収集を続けていたO氏は,問い合わせたメーカーの1社である山洋電気が提案した「ACDCファン」で課題を解決できることを知ります。強く興味を持ったO氏はさっそく担当者から詳しく話を聞くことにしました。
O氏がまず着目したのは, “長寿命”や“低消費電力”といったDCファンの優れた性能をAC電源で得られる点でした。
「ACDCファンとは,DCファンがベースとなっており,ファン内部でAC電力をDC電力に変換して駆動しているファンとのことでした。当社が採用していたACファンと比較したところ,期待寿命が25,000時間から60,000時間(*)へと2.4倍に大幅にアップしたのです。LED照明の新モデルのメンテナンスフリーが実現できると確信しました。さらに,ファンの消費電力が1/3になったので,省エネ化も図れます。」(O氏)
(*)L10:残存率90%,60℃,定格電圧,連続運転,フリーエアー状態
「AC電源をそのままで使用できるので,心配していた装置内部に電源装置を組み込む必要がなくなります。また,ACDCファンは樹脂フレームを採用しているため現行ACファンのアルミフレームに較べ3割近く軽くなり,軽量化と小型化も実現できます。」(O氏)
これらのメリットに加えて,ACDCファンがAC90V~264Vのワイドレンジで使用できる点も,採用決定を後押ししました。
「当社の製品は海外販売もおこなっているため,世界中どこでも電圧を気にせず使用できる点は非常に大きな魅力でした。従来は,輸出国に合わせてそれぞれ電圧の違うファンを用意していましたが,ワイドレンジによって1機種で補えるようになれば,ファンの手配や在庫管理が非常に楽になります。これも大きなメリットでした。」(O氏)
担当者の説明に満足したO氏は開発チームとともに評価を実施。結果,チームからも高い評価を得られたことで,H社は山洋電気製「ACDCファン」の正式採用を決定しました。
「開発は順調に進み,当初の課題だったメンテナンスフリーをクリアし,省エネ,軽量化,ワイドレンジなどの特長を持った製品を生み出すことができました。
海外におけるLED照明の本格的な普及はこれからです。今回の製品によって,今後積極的に世界市場へ展開を図っていくための布石を打てたと考えています。」(O氏)