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コラム
山洋電気の歩みと技術革新(17)

OA/FA市場の復活,「山洋電気生き残り作戦」

History
歴史

山洋電気は,冷却ファンやサーボシステム,ステッピングシステム,UPS,太陽光発電システム用パワーコンディショナなどの製造・販売で知られる電気機器メーカーです。1927年(昭和2年),黎明期の無線通信機用発電機におけるパイオニアとして創業した当社は,戦中・戦後の混乱から高度経済成長期~石油ショックという激動の時代を経て,卓越した技術力を武器に,OA化・FA化にいたるわが国のエレクトロニクス産業を支えていきます。

踊り場現象を脱したOA市場

1986年(昭和61年)末,コンピュータメーカーから相次いで32ビット・パーソナルコンピュータが発表され,記憶装置もフロッピーディスクではなく,ハードディスク装置(HDD)が標準的になってきました。演算処理速度が速くなり,記憶容量も飛躍的に大きくなったことによって,オフィスユースを中心に一気に需要が広がりました。これはパソコンの新しい時代の到来でした。さらに,なかなか低価格化が進まなかったプリンタについても,ここにきて小型化,低騒音化,低価格化が急速に進み,パソコンの需要に拍車をかける力となりました。このように,再びOAブームは盛り上がりをみせるようになったのです。

当社は,コンピュータ・スランプの最中にあっても研究開発を怠ることなく,高機能製品の製品化を進めていたので,このブームの復活にも慌てることなくユーザーの注文に応じることができたのです。

また,需要の増加と低価格化に備え,上田市近郊の青木工場,塩田工場の生産ラインを整備拡張し,最新鋭の自動化量産ラインを形成していました。いよいよこれら新鋭工場の能力をフルに発揮する時が到来したのです。

FAの新たな波

コンピュータ・スランプ,貿易摩擦,円高というトリプルパンチでまったく需要が冷え込んでいたFA業界でしたが,技術は確実に進歩していました。

とくにロボット業界や,その大口ユーザーである自動車メーカーなどからはたえず新しい性能を要求する声が高く,それらの顧客に従来から大量に製品を供給してきた当社は,サーボ関連技術の開発テンポが速く,新製品を矢継ぎ早に発表しました。

当時のFA関連ユーザーからのニーズは,高速化,高精度化,扱いや調整の簡略化,メンテナンスの簡略化,小型・軽量化,低価格化などでした。

これに対して当社は,1986年(昭和61年)10月,高速,精密,かつ滑らかな回転が可能な5相ステッピングシステム「Pentasyn」を発表しました。続いて同年11月,超精密ACサーボシステム「BL860」シリーズを発表。

これは,従来品に比べさらに精密な位置決めができ,剛性が高く,また,極低速での滑らかな運転や悪条件のなかでも信頼性が高く,小型・軽量という特長を持ったサーボシステムでした。さらに同年12月には,大容量で高速応答性が高く,メンテナンスフリーで低価格という特長を持った誘導型ACサーボシステム「IMスーパー」を発表しました。

1987年(昭和62年)9月には小型高性能,低価格のACサーボシステム「BL865」「BL868」シリーズ,アブソリュートセンサつきの「ABS865」「ABS868」シリーズを発表しました。

このように,不況のなかにあっても絶え間ない技術開発と製品化が続いたのは,ひとたび技術的な遅れをとれば市場競争力が格段に落ちてしまい,回復が困難であるという必死の覚悟によるものでした。「山洋生き残り作戦」は新製品の開発面でも成果をあげました。

公開日: 2017-01-17 00:00