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山洋電気の歩みと技術革新(18)

高まる情報保護ニーズ,「無停電電源装置(UPS)」の需要拡大

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History
歴史

山洋電気は,冷却ファンやサーボシステム,ステッピングシステム,UPS,太陽光発電システム用パワーコンディショナなどの製造・販売で知られる電気機器メーカーです。1927年(昭和2年),黎明期の無線通信機用発電機におけるパイオニアとして創業した当社は,戦中・戦後の混乱から高度経済成長期~石油ショックという激動の時代を経て,卓越した技術力を武器に,OA化・FA化にいたるわが国のエレクトロニクス産業を支えていきます。

電源部門のニーズの広がり

1985年(昭和60年)ごろ,当社の電源部門はOAブームもあり,順調に業績を伸ばしていました。
コンピュータは確かに便利で,莫大な量の情報を処理するのに無くてはならないものになっていましたが,電源の変動に敏感で,しかも影響を受けたときのダメージが極めて大きいというウィークポイントがありました。

突然の停電や,瞬間的にせよ電源の変動があるとメインメモリーに展開されているデータが消滅してしまいます。いくつもの端末機を使って,一度にたくさんの仕事をさせているような場合には,どこまでのデータにどのような影響が及んでいるのかを調べることさえ大変です。さらに復旧の作業にも多くの手間と時間がかかってしまうので,システムが大きくなればなるほどこのダメージが大きくなります。

万が一の時のダメージを考え,対策が必要であるという認識が高まってきたこともあり,電力会社はコンピュータのユーザーに対し,無停電電源装置(UPS)の使用を呼びかけるようになってきました。

さらに,1985年(昭和60年)4月に施行された「電気通信事業法」によって通信の自由化がおこなわれ,情報処理と通信の融合に拍車がかかりました。企業間のネットワーク化や付加価値通信網(VAN)が発達,また,金融機関の第3次オンライン化の時代を迎え,ますます情報の保護に対する社会の認識が高まっていきました。

当時,当社のUPSは,このニーズを背景に需要が伸びていたのです。
市場が拡大すると競争も激しくなり,国内のUPSメーカーはわずか2年で20社あまりも増え,60数社にまでなりました。 そこで当社は,わが国の電源メーカーの草分けとして,小型高性能のUPSを開発。市場における優位性の維持を図りました。

この新製品を,「SANUPS」と名付け,1987年(昭和62年)2月に7.5kVA~30kVAの中容量タイプ「SANUPS 010」シリーズを発表。

続いて同年7月には0.5kVA~10kVAの小容量タイプ「SANUPS 001」シリーズを発表しました。

このシリーズでは,電圧波形フィードバック制御機能を持つPWM波形制御方式を採用したことにより,整流器負荷100%を保証し,容量の選定に余裕をみる必要がなくなりました。また,その他の特長としては,電子スイッチによって無瞬断で商用電源にバイパスできる点,従来のものに比べ約2分の1へ小型軽量化,メンテナンスフリー,低騒音など,すぐれた性能を持つものとなりました。オフィスコンピュータや端末機,パソコンなど,OA機器に完全にマッチした製品であり,発表早々引き合いが相次ぎました。

このほか電源部門の製品としては,1983年(昭和58年)から本格的な製造を始めた大型コンピュータ用モータ・ジェネレータ(MG)電源装置もその安定した品質を認められ,順調に受注を伸ばしました。

また,1985年(昭和60年)4月には,電話局の交換機用の信号電源装置,電話用およびデータ通信用の交流無停電電源装置,非常用の発動発電機,電力集中監視装置なども引き続いて当社製品へのニーズが高い状況でした。

このように,当社創業時からの伝統をもつ電源部門は,その長年の技術の積み重ねと経験と実績とに支えられ,古くからの大口主要得意先からの信頼を大きな柱としながら,世の趨勢から生まれる新しいニーズに対して技術を惜しむことなく導入し続けていきました。

公開日: 2017-01-18 00:00