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コラム
山洋電気の歩みと技術革新(28)

風力・水力発電用パワーコンディショナ「SANUPS W73A」連系自立タイプの開発

History
歴史

近年,各地で自然災害による大規模な停電が多く発生し,いずれも停電解消には数日を要しました。このような背景から,非常時の電源確保のため,自立運転機能を備えたパワーコンディショナの設置を検討するお客さまが増加しました。また,離島などの無電化地域における独立電源としての要求もあります。これらの要求に応えるため,系統連系タイプに自立運転機能を搭載した風力・水力発電用パワーコンディショナ「SANUPS W73A」の開発をおこないました。

新製品の特長

直流入力電圧-直流入力電力の特性設定機能

「SANUPS W73A」は,風力発電機や水力発電機の出力特性にあわせて,パワーコンディショナの直流入力電圧-直流入力電力の特性を最小2点から最大32点まで任意に設定できます。また,運転開始電圧と運転停止電圧についても自由に設定できるため,風力発電機や水力発電機の発電電力を効率よく取り出すことができます。

自立運転機能

「SANUPS W73A」連系自立タイプは,自立運転モードに切り替えることができます。

自立運転のイメージ
▲図1 自立運転のイメージ

自立運転は,商用電力系統が停電した際に使用する運転モードで,風力発電機や水力発電機が発電し,直流に整流した電力を交流電力に変換し,非常用設備に電力を給電できます。また,離島などの無電化地域においても,独立用電源として電力を供給することもできます。

運転モードの切り替え方法を手動または自動に設定できます。手動切り替えの場合,連系出力遮断器のON/OFFだけで運転モードを切り替えるよう,手順を簡略化しました。これにより,難しい操作なしに自立運転に切り替えられます。

自立運転のイメージ
▲図1 自立運転のイメージ

遠隔監視サービス
当社の「SANUPS PV Monitor」と「SANUPS NET」を組み合わせて使用することで,インターネットを通じて,「SANUPS W73A」の状態をパソコンやスマートフォンから遠隔監視できます。
「SANUPS NET」では,電力の見える化サービスとシステム情報管理サービスの2 種類のサービスから,必要なサービスを選択できます。
電力の見える化サービスは,発電状況の表示とデータ収集をおこなうことができ,システム情報管理サービスは,見える化に加えて,運転状態・トラブルなどの通知および履歴を時系列に表示し,参照できます。

遠隔監視の接続イメージ

▲図2 遠隔監視の接続イメージ

防塵・防水性能

「SANUPS W73A」は保護等級IP65 であり,屋外用のパワーコンディショナとして,防塵・防水性能に優れた密閉構造になります。これにより,雨や塵,小さな虫などの侵入から装置を守り,より安心して使用できる信頼性の高い製品です。さらに,「SANUPS W73A」は塩害地域での使用を想定し,塩水噴霧試験(「IEC60068-2-52 塩水噴霧試験方法」に基づく厳しさ6の試験)により機能・性能に影響がないことを確認しています。このため,海岸線から500m以上離れた地域での設置ができます。

風力発電・水力発電システム用パワーコンディショナ「SANUPS W73A」は,非常時の電源確保や商用電力系統が無い環境でも電力を使用したいというニーズに応えることができます。今後,関連分野の製品開発においては,再生可能エネルギーの大量導入にともなう問題を改善する,スマートグリッドなどの新技術の開発に加え,これら新技術を応用した製品を迅速に開発し,あらゆる再生可能エネルギーを利用できる製品の提供と,低炭素社会の実現に貢献していきます。

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