図1 に発電システムの概要を示します。風力発電や水力発電ではシステムの構成上,発電機が発電した交流電力をパワーコンディショナが扱う直流電力に変換するための整流器ユニットが必要になります。
しかしながら,出力容量10kW以下のシステムに対応した標準的な整流器ユニットが市場にはありません。そこで,10kW以下の発電システムに使用できる整流器ユニットとして「SANUPS W75A」を開発しました。
図1 発電システム概要図
「SANUPS W75A」は,定格出力容量11kWの整流器ユニットです。
主回路は,全波整流方式を採用しました。発電機が発電した交流電力を,パワーコンディショナへ入力可能な直流電力に変換します。変換効率は99%※1と業界トップレベルです。
※1 「JIS C 8961 太陽光発電用パワーコンディショナの効率測定方法」に準拠して測定。負荷として当社製パワーコンディショナ「SANUPS W73A」を接続。
図2 「SANUPS W75A」の基本回路構成
「SANUPS W75A」は,発電機がパワーコンディショナの入力電圧範囲を超える発電をした場合に,パワーコンディショナの破損を防ぐための直流電圧上昇抑制機能(ブレーキ機能)を搭載しています。電力消費用の外部抵抗を接続することで使用可能になります。図2は「SANUPS W75A」の基本回路構成を示しています。
直流出力電圧を常時監視しており,出力電圧が設定値を超えた場合,ブレーキ機能が動作することでブレーキ用抵抗に電流を流し,パワーコンディショナの入力電圧が上がりすぎないように制御します。ブレーキ機能の頻繁な動作を防止するために,ブレーキの動作開始電圧と解除電圧に電位差を設けています。
図2 「SANUPS W75A」の基本回路構成
風力発電や水力発電システムでは,発電機の回転数をデータ収集する場合があります。
「SANUPS W75A」は,発電機の出力電圧周波数を出力する接点出力端子を搭載しています。発電機の出力電圧周波数を取り出すことで回転数の計測ができます。この接点出力端子に信号変換器を接続することで,発電機の回転数をモニタリングできます。
「SANUPS W73A」シリーズおよび遠隔監視装置「SANUPS PV Monitor」を使用することで,ネットワークを介して回転数の遠隔監視とデータ収集ができるようになり,スマートグリッドシステムの構築に貢献します。
「SANUPS W75A」は,交流入力電圧範囲:AC106V ~ 420V,直流出力電圧範囲:DC0V ~ 600Vの広い電圧範囲に対応しています。そのため,風力発電や水力発電だけでなく,バイオマスや地熱発電など,三相発電機を使用する再生可能エネルギー発電システムの整流器としても幅広く使用できます。
本装置は,風力発電や水力発電などの再生可能エネルギー発電システムの導入促進に貢献できると考えます。
今後,関連分野における製品開発において,お客さまのニーズに合わせた製品を迅速に開発し,再生可能エネルギーの普及および,低炭素社会の実現に貢献していきます。
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