設計第二部
西尾 栄一
入社は1985年です。当時は,ハードディスクのヘッド駆動にステッピングモータを使っており,私はそのステッピングモータのセミクローズ制御を開発していたグループに配属されました。その後,発展系としてステップのクローズドループ制御というところで製品に携わるようになりました。それ以来,SANMOTION Model No.PBシステムの開発にずっと携わっています。
「EtherCATインタフェース対応 DC電源入力 SANMOTION Model No.PB 2軸一体型ドライバ」の一番の特長はインターフェースそのものです。また,専用のASICを必要とするネットワークに対応する場合,通信部分にかかるコストが問題となるため,単軸ではコスト競争力が弱くなると考えました。そこで,通信部分のコストを分散させるという意味で,多軸化を検討しました。メーカーの縛りがない,オープンネットワークのEtherCATを選択するお客さまが増えてきているなか,お客さまからEtherCATのインタフェースで多軸ドライバの要求があったためです。
簡単に言うと,従来からのインクリメンタルエンコーダに加え,新たにアブソリュートエンコーダに適合したことと,特定の動作モードにおいては2軸同期運転が可能です。あとは,いろいろな制御を変えて,位置決め精度の向上,回生運転時のモータ音の低減などを実現しました。
一番は,ひとつのCPUで制御するために,通信の分とモーションコントロールの分の処理時間をどう配分して2軸の制御を実現するか,ということに苦労しました。そこは,CPUの選定と,タスク処理の最適化,というか。簡単に言うと,時間配分のタスクで制御を実現しています。カットアンドトライではできないので,あらかじめ処理時間を決めて,ここの演算処理時間を見極めてから実装したというかたちです。
従来,規模の大きな装置では,リアルタイム性,マスタの制御能力などの問題からモーション系,I/O系などの制御対象ごとに相違するネットワークで構成するケースが多々ありましたが,EtherCATはその高速性,制御性から単一ネットワークでの構成が可能になるものと思います。
山洋電気にはステッピングシステムとクローズドループステッピングシステムとサーボシステムという選択肢があるので,必要な箇所に必要なご提案ができますので,ぜひ,適材適所で活用いただければと思います。
チームは,まじめで,みんな優秀です。雰囲気は和気あいあいとやっています。
SANMOTION Model No.PBは,ステップとサーボの中間領域を補完する製品との位置づけで携わってきましたが,“さらなる性能向上”を目指し,今後も製品開発に携われたらと思います。ステップ固有の騒音を小さくするような制御や,モータの構造,センサも含めトータルシステムとして性能向上を目指します。
また,当社はカスタマイズが非常に多く,お客さまの欲しい機能をカスタマイズすることで,お客さまそれぞれに合ったトータル的な性能アップを図っているので,それをさらに強くしていきたいと考えます。また,開発のスピードアップを図り,いかに効率よく要求に応えていくか,開発環境を改善する取り組みもしていきたいですね。
公開日: 2018-01-01 00:00