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インタビュー
ものづくり最前線(1)

カスタマイズでお客さまの装置の性能アップに貢献したい。

Interview
インタビュー

このコラムでは,さまざまなシーンで山洋電気の技術を支える人々を紹介していきます。
ものづくり現場では,日々何を考え,困難にどう立ち向かっているのか。
製品にこめられた想いをお伝えします。

第1回の今回は,超高速オープンネットワークであるEtherCATインタフェース搭載のクローズドループステッピングシステムを開発した,サーボシステム事業部 設計第二部の西尾さんにお話を伺いました。
  • 設計第二部
    西尾 栄一

  • 今まで開発に携わった製品は?

    西尾

    入社は1985年です。当時は,ハードディスクのヘッド駆動にステッピングモータを使っており,私はそのステッピングモータのセミクローズ制御を開発していたグループに配属されました。その後,発展系としてステップのクローズドループ制御というところで製品に携わるようになりました。それ以来,SANMOTION Model No.PBシステムの開発にずっと携わっています。

    製品概要を教えてください。

    西尾

    「EtherCATインタフェース対応 DC電源入力 SANMOTION Model No.PB 2軸一体型ドライバ」の一番の特長はインターフェースそのものです。また,専用のASICを必要とするネットワークに対応する場合,通信部分にかかるコストが問題となるため,単軸ではコスト競争力が弱くなると考えました。そこで,通信部分のコストを分散させるという意味で,多軸化を検討しました。メーカーの縛りがない,オープンネットワークのEtherCATを選択するお客さまが増えてきているなか,お客さまからEtherCATのインタフェースで多軸ドライバの要求があったためです。

    製品の特長を教えてください。

    西尾

    簡単に言うと,従来からのインクリメンタルエンコーダに加え,新たにアブソリュートエンコーダに適合したことと,特定の動作モードにおいては2軸同期運転が可能です。あとは,いろいろな制御を変えて,位置決め精度の向上,回生運転時のモータ音の低減などを実現しました。

    この特長のなかで,こだわった点や苦労話はありますか?

    西尾

    一番は,ひとつのCPUで制御するために,通信の分とモーションコントロールの分の処理時間をどう配分して2軸の制御を実現するか,ということに苦労しました。そこは,CPUの選定と,タスク処理の最適化,というか。簡単に言うと,時間配分のタスクで制御を実現しています。カットアンドトライではできないので,あらかじめ処理時間を決めて,ここの演算処理時間を見極めてから実装したというかたちです。

    この製品を使う方に対するアピールはありますか?

    西尾

    従来,規模の大きな装置では,リアルタイム性,マスタの制御能力などの問題からモーション系,I/O系などの制御対象ごとに相違するネットワークで構成するケースが多々ありましたが,EtherCATはその高速性,制御性から単一ネットワークでの構成が可能になるものと思います。
    山洋電気にはステッピングシステムとクローズドループステッピングシステムとサーボシステムという選択肢があるので,必要な箇所に必要なご提案ができますので,ぜひ,適材適所で活用いただければと思います。

    開発チームの雰囲気や仕事への想いなどを聞かせてください。

    西尾

    チームは,まじめで,みんな優秀です。雰囲気は和気あいあいとやっています。

    SANMOTION Model No.PBは,ステップとサーボの中間領域を補完する製品との位置づけで携わってきましたが,“さらなる性能向上”を目指し,今後も製品開発に携われたらと思います。ステップ固有の騒音を小さくするような制御や,モータの構造,センサも含めトータルシステムとして性能向上を目指します。

    また,当社はカスタマイズが非常に多く,お客さまの欲しい機能をカスタマイズすることで,お客さまそれぞれに合ったトータル的な性能アップを図っているので,それをさらに強くしていきたいと考えます。また,開発のスピードアップを図り,いかに効率よく要求に応えていくか,開発環境を改善する取り組みもしていきたいですね。

    公開日: 2018-01-01 00:00