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コラム
ものづくり最前線(4)

業界初のφ172mmサイズの高風量・高静圧 二重反転ファンへの挑戦

Interview
インタビュー

このコーナーでは,さまざまなシーンで山洋電気の技術を支える人々を紹介していきます。
ものづくり現場では,日々何を考え,困難にどう立ち向かっているか。製品にこめられた想いをお伝えします。

昨今のIT機器,通信機器の高性能化により,ファンにもより高い冷却性能が求められています。
今回は,業界初のφ172mmサイズの高風量・高静圧 二重反転ファン「San Ace 172」9CRタイプを開発したクーリングシステム事業部の設計部にお話を伺いました。
  • 設計部
    藤巻 哲

  • 設計部
    小野沢 泉

  • 設計部
    西沢 敏弥

  • 設計部
    柳沢 篤史

  • 設計部
    川島 高志

  • 製品開発の背景は?

    小野沢

    お客さまからの声です。
    高風量・高静圧のファンが欲しいということで,初めは従来品である「San Ace 172」9SGタイプ(φ172×150×51mmサイドカット型)を改良して要求の性能まで出そうと考えていたのですが,2台使っても目標数値を達成できないということで,このサイズで二重反転ファンを新たに開発しようということになりました。

    今までにないサイズということで,苦労した点はありますか?

    柳沢

    まず強度面ですね。これだけ大きなファンで大きな風量,高い静圧を出していますので,羽根には大きな負担がかかります。そのため十分な強度が得られるよう考慮して設計しました。ファンの性能のみを追求していると,これだけ性能の高いファンでは十分な強度が得られません。しかし,強度のみを考慮すると性能が悪くなってしまいます。何度も試作し,十分な強度と最高の性能が出せるよう試行錯誤して作りました。羽根の試作だけで50個は作っていると思います。

    藤巻

    発熱も大きいです。しかも二重反転ファンということでモータが2つあるので,モータ負荷のかかり方が違う。だからそれぞれの負荷のかかるポイントを見極めて設計して評価して…っていうのが結構手間かかりますね。
    また,大きいサイズは小さいサイズに比べて,負荷のかかり方も大きいので,回路設計者が苦労したと思います。

    柳沢

    ベアリングにもかなり負担がかかります。ファンにとってベアリングは重要な部品ですので,壊れるようなことがあっては駄目。でも,下手な設計をするとベアリングが壊れちゃう。だから,十分に検証と評価試験をおこない,壊れることがないように作りました。

    設計中に予想外のことが起こることはありますか?

    小野沢

    この製品に限った話ではないですが,いろいろ起こりますね。ですので,ほかのチームの開発の問題点や解決策を情報共有しながら,設計部全体でノウハウの蓄積をおこなっていくようにしています。

    消費電力を下げるという点で苦労したことはありますか?

    西沢

    羽根も形状の組み合わせによって,性能が変わってきます。
    羽根自体はたくさん作っていますが,その組み合わせをいろいろ考えていくなかで,冷却性能に優れ,かつ消費電力も下がるものを見出すという…。まさにカット&トライで進めました。

    採用事例として,マウスゲージの空気調節用として使用されたようですね。

    小野沢

    マウスを大きいゲージにたくさん入れて飼うのですが,実験用に使うマウスなので,場所により体調に差が出ないように,同じ環境で飼う必要があります。そのために,大きなファンで風を送りたい,高風量・高静圧のファンが必要だということで,お客さまから需要がありました。通常,サーバとか通信機とかで使われるのですが,ぜんぜん違うところで使われた珍しい例です。

    最後に,仕事に対する想いを聞かせてください。

    小野沢

    山洋電気ブランドを常に意識し,他社にはないものを作りたいと思っています。価格を下げるのも大事ですが,技術者としては他社にない付加価値のある製品を作りたいという想いで日々仕事をしています。

    西沢

    構造設計において,羽根・フレームの形状・強度面など,いろいろ考慮して高回転にも耐えうるよう設計をしています。信頼性に関しては他のメーカーに負けたくないですね。

    柳沢

    自分が担当している構造設計において,不具合や壊れることがないよう信頼性は十分に考えています。そして,他社が今後追いつけないような,一番のファンを作りたいという意気込みで日々開発をおこなっています。

    川島

    お客さまにお出しするデータの計測において,絶対にこれで大丈夫といえるようなデータを取るように,日々の仕事を丁寧にと心がけています。

    藤巻

    長年,設計に携わっていますが,ファンはどんどん進化しています。それは,お客さまからのご要望によるものも多いです。昔のファンは風が送られていれば良いという程度でした。でも,高風量が求められるようになり,そうすると今度は騒音対策が求められるようになります。
    年々,お客さまの使用環境がハードになり,レベルの高いご要望をいただくので,我々技術者は,常に最新の技術,知識を持って,最適なご提案をできるようにしたいと思っています。

    公開日: 2018-01-04 00:00