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コラム
ものづくり最前線(9)

難しい依頼でも「やるよ」と答えるチームワーク! 妥協しないものづくりを通して自分もつくる。

Interview
インタビュー

このコーナーでは,さまざまなシーンで山洋電気の技術を支える人々を紹介していきます。
ものづくり現場では,日々何を考え,困難にどう立ち向かっているか。製品にこめられた想いをお伝えします。

今回は,長野県上田市にある富士山(ふじやま)工場にて,クーリングシステム事業部 生産部第一課の原沢さんに,お話を伺いました。
  • 生産部第一課
    原沢 慎一

  • まずは簡単にプロフィールを教えてください。

    原沢

    入社以来,ファンの生産に一貫して携わってきました。海外での生産指導,ライン指導・管理も数年間経験しました。現在は,DCファンの部品製造工程を担当していますが,ACファンすべての製造工程にも携わっています。

    生産ラインの特長を教えてください。

    原沢

    ファンの生産ラインの特徴は,全数検査をおこなっているところです。
    例えば,フレームのベアリングハウス内径の公差は厳しく定めていますが,機械で内径の全数検査もおこなっています。ベアリングをいかに長持ちさせるかでファンの寿命が決まるので,そのベアリングが収まるベアリングハウスの内径というのは非常に重要になります。大きすぎるとベアリングが中で暴れてしまいますし,小さすぎるとベアリングが締まり,寿命の低下につながるので重要な検査だと思っています。
    また,音,振動は人が全数検査をしています。人がおこなう検査には社内認定の免許が必要になります。音や振動の官能検査は認定された熟練工がおこなっていて,誰にでもできるわけではありません。

    検査員の免許制度とはどのようなものですか?

    原沢

    学科試験,実技試験をおこない,合格者のみに検査員として免許が発行される社内の認定制度です。一度認定されても,有効期間があるので更新が必要です。種類によって毎年更新するものや3年に1回の更新が必要な認定種目もあります。この免許制度を受験する人は会社からの推薦もありますが,自分からやってみたいと上司に相談する人もいますよ。

    高品質の製品をつくるために努力していることは?

    原沢

    やはり,誰がやっても同じ高品質を維持できるように常に工程を改善しています。不良の原因は工程内にあるので,各自が担当した作業に対する管理が大切だと思います。
    「改善提案」はたくさん出てきますね。「改善提案」では,半期で1人4件以上の提案が個人目標となっています。ほかにも,自分たちの失敗をあえて掲示し,なぜミスをしたか自分たちのこととして部員全員で共有して,同じことを起こさないための「礎道場」という取り組みや,各部門が不良率の推移や不具合の発生状況,品質目標の達成状況を分析,発表し,品質改善を継続していくための「品質向上会議」を定期的におこなっています。立案した改善案は,実際の工程の中にどんどん展開していくので,自然と改善されていく形です。高品質な製品を生産維持できるのは小さな改善を積み重ねた結果だと思います。
    特に,工程内不良率を見ると15年前に比べ10分の1くらいに減っていて,私もすごく驚いています。それは山洋電気が力を積み重ねた結果だと思います。

    富士山工場の自慢できることはありますか?

    原沢

    5S活動(*)に力を入れています。自己満足だけじゃなく,実際に成型職場をご覧になったお客さまから「きれいですね」とほめられます。

    *5S活動:職場環境の維持・改善でもちいられるスローガンとして,各職場で徹底するべき事項を5つにまとめたもの。整理・整頓・清掃・清潔・躾の5つ。整理・整頓・清掃から始めて人の意識を変える取り組み。

    当社設計部門と同じ上田市内に位置し,お互いの距離が近いことで,どのようなメリットがありますか?

    原沢

    スピードを意識した仕事ができるところです。必要な打ち合わせが早いですね。特急品への対応や問題発生時に,車で15分くらいの距離ですので,みんなすぐ集まっています。例えば,今日中に仕上げてもらいたい試作品があった場合,「朝持って行くので夕方までに仕上げてもらえますか?夕方取りに行きます。」という感じです。社内便で送ったりすると,そこだけで1日過ぎてしまいますから,大きなアドバンテージだと思います。

    仕事をしていておもしろいと感じることは?

    原沢

    営業やお客さまが納期で困っているときに,それを解決するのが楽しいですね。イレギュラー案件の話になってしまうのですが,納期が短い場合やシステムに登録された標準リードタイム以下で注文が入った場合,すべてシステム外でマニュアル作業になってしまいます。マニュアルで生産指示を出して,マニュアルで入庫するので,係とかグループを超えて,事業部全体で協力して乗り越えています。いろいろな人に無理をお願いして,何とか納期に間に合わせいるのですが,そこがおもしろいと感じるところです。各工程を追いかけながら,出荷まで見届ける。お客さまのために奔走した営業に喜んでもらって「ありがとうございました」と言われたときが気持ちいいかな…いや,「やれますか?」と聞かれて「やるよ」と答えるのが気持ちいいですね。

    ものづくりへの想いを聞かせてください。

    原沢

    ものをつくるということは自分もつくらせてもらっていることだと思います。いい加減な気持ちでいい加減なものをつくれば,人間としていい加減になってしまう。心を込めてつくれば,自分の心もつくられていくんじゃないかな。
    心がけていることは,1つ1つに心を込めてつくること, 買ったら少し傷があったなどお客さまが,がっかりすることがないようにしています。社員にとっては,たくさんつくったうちの1台かもしれませんが,買ったお客さまには「私の大切な1台」なんだということを,部下にも教育しています。

    職場の雰囲気を教えてください。

    原沢

    みんな本当にまじめで「不良を絶対に流出させない」という雰囲気です。例えば,担当工程で不良が発生すると,もうお通夜みたいになっちゃいますね。そんな時は,個人一人の失敗じゃなくて,製造工程の失敗だったのだから次に活かそうと言っています。みんな強い責任感を持って,仕事に取り組んでいます。

    お客さまへのアピールポイントは?

    原沢

    一度当社のファンを使っていただきたいですね。品質はもちろん,納期やカスタマイズへの柔軟な対応を感じてみてほしいです。お客さまのご要望に誠意を持って応えます。山洋電気とぜひ一回お付き合いいただければと思います。

    公開日: 2018-01-09 00:00