
近年,環境問題への意識がますます高まる中,社内外で「カーボンニュートラル」や「環境負荷の低減」といったキーワードが注目を集めています。
では,なぜ今,環境への取り組みがこれほど重要なのか?そして,山洋電気はどのようにして製品を通じて環境負荷の低減に貢献しているのか?
今回はその最前線に立つ,環境技術推進部 部長・宮原章雄氏に,取り組みの背景や具体的な施策,そして未来への展望についてお話を伺いました。
▲環境技術推進部 部長 宮原章雄
地球温暖化の防止,気候変動リスクの低減は,当社企業活動の最優先事項と考えています。それらを推進するために,カーボンニュートラルの実現は不可欠です。そこで,当社では自らが主体的に取り組むために,CO2排出量削減の目標を定めカーボンニュートラルを推進しています。 当社は2023年3月にCO2排出量削減の中長期目標を発表しました。2030年度には2017年度比でCO2を46%削減,2050年度にはカーボンニュートラルを達成する目標です。
▲環境技術推進部 部長 宮原章雄
▼CO2排出量削減の中長期目標
当社のCO2排出量は,世界的な温室効果ガスのプロトコルである「Scope」に基づき算定しています。2023年度の実績では,Scope1(自社の燃料燃焼による直接排出)とScope2(電力使用による間接排出)による排出は全体の1%未満ですが,Scope3(サプライチェーン全体)の「製品使用時」の排出量が94%を占めています。したがって,省エネや創エネの取り組みにより工場稼働におけるCO2排出量を低減するとともに,「製品使用時」の排出量の低減がカーボンニュートラル推進の鍵と考えています。 「製品使用時」の排出量の低減のためには,製品の消費電力削減が必須です。そこで,製品の設計段階から環境負荷を低減する「環境適合設計」を推進し,消費電力削減やCO2排出量の削減に取り組んでいます。
▼2023年度 ScopeによるCO2排出量
「環境適合設計」とは,環境への影響を考慮し,汚染の予防や資源の節約,省エネルギー,リサイクル性向上などを設計に組み込む取り組みです。特に,省エネルギー性能を重視し,ライフサイクルアセスメント(LCA)を通じて環境への影響を評価しています。設計エンジニアは開発段階から環境負荷低減を考慮し,製品アセスメントを通じてその効果を評価します。
▼環境適合設計の配慮項目と指針
評価項目 | 環境影響低減効果 | |
---|---|---|
1 | 減量化(小型化・軽量化) | 省資源・地球温暖化 |
2 | 長寿命化 | 省資源・地球温暖化 |
3 | 安全性・環境保全性 | 化学物質管理,安全衛生 |
4 | 再資源化 | 省資源・リサイクル |
5 | 製品の分解性 | 省資源・リサイクル |
6 | 廃棄処理 | 化学物質管理 |
7 | 収集・運搬 | 地球温暖化 |
8 | 情報の開示 | 省資源・リサイクル |
9 | 省エネルギー | 地球温暖化 |
10 | LCA(CO2排出量) | 地球温暖化 |
▼エコプロダクツおよびエコプロダクツプラスのシンボルとロゴ
「エコプロダクツ」は,環境適合設計に基づき開発された環境負荷が低い製品です。当社では,既存製品や市場製品と比較し10項目の評価基準について評価を行い,基準を満たした製品を「エコプロダクツ」として認定しています。さらに,2023年度に認定基準を見直し,「エコプロダクツ」よりも環境負荷低減効果が大きい製品を「エコプロダクツプラス」として設定しました。 この「エコプロダクツ」を開発しお客さまにご使用いただくことで,当社のみならずお客さま装置のCO2排出量低減に貢献できると考えています。 さらに,お客さまに製品使用時のCO2排出量削減効果を定量的に提示するために,「環境貢献量」というを新たな指標の準備を進めています。
▼エコプロダクツおよびエコプロダクツプラスのシンボルとロゴ
A5. 前述のように,当社はカーボンニュートラルの実現を社会的課題と捉えています。そこで,社員一人ひとりが自分事として取り組むために,本来業務との繋がりを強化しています。生産活動における電力や燃料使用によるCO2排出量の抑制に加え,「エコプロダクツ」の開発・ラインアップ拡充・販売促進を進めることで,世界全体のCO2排出量削減に貢献していきます。
環境への配慮は,もはや企業の責任として欠かせない時代になりました。
山洋電気が掲げる「エコプロダクツ」は,単なる環境配慮製品ではなく,お客さまの装置全体のCO2排出削減にも貢献できる強力なソリューションです。
今回のインタビューを通じて,こうした背景や意義をご理解いただいた上で,私たちはこれからも「エコプロダクツ」を積極的にご紹介し,より多くのお客さまとともに持続可能な社会の実現を目指してまいります。
公開日: 2025-04-28 16:18