TECH COMPASS
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解決事例
立ちはだかる開発スケジュールの壁。

高い冷却性能を維持しながら「低騒音・低振動化」へ挑戦!

IT機器製造・情報サービス業J社(従業員数:約450名)

Solution
解決策・効果

「40mm角2台」を「60mm角1台」に!?冷却性能を維持しつつ騒音を低減するという提案

数日後に同社を訪れた山洋電気の営業担当は,D氏らより詳細なヒアリングをおこない,低騒音化に向けたポイントを整理しました。

  • 冷却性能を維持しつつ,騒音を抑制する
  • 設置場所に関わらず,共振による振動音を抑制する
  • スタンバイ状態での騒音をより小さくしたい
  • 開発スケジュールの変更はできない

「同サイズ(40mm角28mm厚)で,冷却性能を低下させずに,低騒音化を実現するには,ファンを構成するすべての部品を見直し,新しいファンを開発する必要がありました。しかし,J社の開発スケジュールの変更はできないため,ファンのサイズ変更を提案しました。」(山洋電気 営業担当)

J社は,既存の「40mm角28mm厚」タイプのファン2台構成に対して「60mm角25mm厚」タイプの静音ファン1台構成の提案を受けます。試行錯誤を繰り返すなかで,次期ワークステーション内の各パーツの配置を見直し,60mm角までならば搭載できることがわかりました。

「衣擦れの音より静か」? 30%の低騒音化を実現。さらに低振動化にも成功!

さっそく,山洋電気は60mm角静音ファンの評価用サンプルをJ社に納品。同社は静音ファンの評価を始めます。
試作機での実機検証をおこない,静音ファンが期待通りの効果を発揮することを確認。1台でも十分な冷却性能を得られることで,低騒音・低振動化に対する課題をクリアすることに成功しました。

「想像以上に静音ファンの特性が良く,騒音や振動の面でも問題なく,期待通りの効果を発揮しました。そのため,開発スケジュールが短縮できました。これらに加え,スイッチングノイズも大幅に低減されていました。現行のファンでは,低速回転時に「ジリジリ」という磁気騒音が発生していましたが,ソフトスイッチングをするICが搭載されており問題ありませんでした。」(D氏)

静音ファンを実装することで,現行ファン2台で0.48m3/minであった風量を,1台で0.58m3/minを実現することができました。かつ,騒音は33db (A)から24db (A)への低減を実現しました。また,ファンの風きり音だけでなく,筐体との共振により発生する振動音も低減することができました。今回の「静音ファン」導入について,D氏はこう総括しています。

「24dBといえば,衣擦れの音より小さいレベルです。あまりの静かさに驚きました。これまでのファンに比べて,30%の低騒音化を達成できました。しかも,1台にしたにも関わらず,風量は0.10mm3/minアップしています。また,2台構成から1台構成になったことで,コスト低減も図ることができました。」

ユーザーのニーズを満たしながらも,パフォーマンス向上に成功した同社の製品は,市場優位性を確立し,今後さらなるシェア拡大が期待されています。

効果
  • レイアウトを見直し,「40mm角28mm厚」のファン2台から,「60mm角25mm厚」の静音ファン1台構成へ変更。
  • 搭載数を削減したにも関わらず,従来ファンより0.10mm3/minの風量アップを実現。
  • 静音ファンの搭載で,30%もの低騒音化を実現。
  • 低振動化したことで筐体との共振により発生する振動音の低減にも成功。
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