防犯カメラをはじめとするセキュリティ関連機器の製造販売を手掛けるO社。同社ではこのほど,高画質なフルHDの屋外設置型防犯カメラシステムの開発に乗り出していましたが,装置内部の熱対策についていくつかの課題を抱えていました。O社設計開発チームのTリーダーはこう語ります。
「新規に開発するカメラシステムでは,高性能な映像処理エンジンを搭載することによって,装置内部がかなり高温になります。はじめは,高風量のファンを検討しましたが,回転数が高く振動で映像のぶれが問題となってしまいました。回転数が低いファンでは振動は抑えられましたが,風量が足りず発熱を抑えきれませんでした。」(T氏)
困ったT氏は高風量かつ低振動なファンを探して情報収集を続けました。
T氏は情報収集を続けるなかで,ファンの「PWMコントロール」機能について興味を持ちました。
「PWMコントロール機能付きのファンであれば,パルス信号の入力で,ファンの回転数を制御できることがわかりました。課題だった騒音についても,この機能で解決できると期待しました。24時間屋外で稼働させる防犯カメラシステムなので,例えば比較的温度が低い夜間には,ファンの回転数を下げて騒音を抑えられると考えたのです。そこで,PWMコントロール回路の自社開発を検討したのですが,新規基板の設計工数や評価期間が予想以上となり断念しました。」(T氏)
情報収集を続けていたT氏は,これらの課題を山洋電気の営業担当者に相談することで解決策を見出します。
「はじめはファンの振動に関する相談をしたところ,山洋電気のファンに置き換えるだけで振動を低減できるという提案をいただきました。振動しにくい構造上の工夫や製造工程でのバランス取りに加え,高い組み立て精度により低振動化を実現しているなど,具体的な説明を聞いて興味をもちました。防犯カメラシステムには,熱に弱い部品が搭載されているので,冷却用のファンは非常に重要な役割を果たします。開発製品の画質と性能のバランスについてとても悩んでいましたが,山洋電気のDCファンなら,十分な冷却性能と振動の課題がクリアできると期待できました。」(T氏)
また,提案されたファンがPWMコントロール機能つきのファンだったことから,一度断念したコントローラ回路の開発についても相談したところ,山洋電気の営業担当者から基板タイプの「PWMコントローラ」を提案されました。
「『San Ace PWMコントローラ』は,ファンと接続するだけで簡単に使えるところに驚きました。サーミスタという温度センサにより,感知した装置内の温度に合わせ,ファンの回転数が自動的にコントロールされるので,風量を必要としない夜間などの騒音をさらに30db低減できました。」(T氏)
こうしてO社は,社内評価の後に山洋電気製DCファンと基板タイプのPWMコントローラの正式採用を決定。
「必要に合わせた回転数にすることで結果的に消費電力も1/5にカットでき,低振動・低騒音に加え,さらに省エネ性能を持った高画質防犯カメラシステムの開発を進めることができました。当社の要求に合った提案で,期待していた以上の性能の装置を開発することができました。感謝しています。
セキュリティ機器への要求は高度化の一途をたどっており,今後も開発競争は激化していくと思われます。山洋電気には,これからも最適な提案を期待しています。」(T氏)