空調機器メーカーE社では,クリーンルームなどさまざまな用途で使用されるファンフィルターユニットの新モデル開発を検討していました。E社設計部のB部長はこう説明します。
「ファンフィルターユニットを使用していると,徐々にフィルターに汚れが溜まっていきます。フィルターが汚れ,目詰まりしてくると,ファンフィルターユニットの風量が落ちてしまいます。空間の清浄度を保つためには一定の風量を保たなければならないため,フィルターの汚れ具合に応じてファンの回転速度を細かく制御したいと考えていました。
現行モデルでは,DCモータに自社で羽根を組み合わせて風を送っています。電圧を調整することで羽根の回転速度を加減速させているのですが,細かな制御まではできませんでした。またACからDCに変換する電源装置(コンバータ)のスペースや配線が必要でした。」
課題を解決するため,B氏は結局,既製のファンを検討し始めました。
「まず,現行モデルのAC電源に合わせてACファンを検討しましたが,風量の制御ができず,また風量も足りないことが分かりました。ACファンより高風量なDCファンも検討してみましたが,DCファンを駆動するにはACDCコンバータを搭載する必要があり,スペースと配線工数が課題となってしまいました。」(B氏)
B氏は検討に行き詰まり,新モデル開発は一向に進みませんでした。
情報収集を続けていたB氏は,産業用機器の展示会に参加した際に山洋電気のブースに立ち寄り,担当者に相談しました。
山洋電気の担当者はB氏から詳細に課題をヒアリングしたうえで,PWMコントロール機能が付いたAC入力の遠心ファンを提案しました。
「PWMコントロール機能付きのファンは,パルス信号のデューティ比を変化させることによりファンの回転速度をコントロールできるため,従来の電圧での制御に比べ風量を細かく制御できます。高風量の遠心ファンなので風量も申し分ありません。また,ファンにACDCコンバータが内蔵されているので,AC電源で直接駆動できます。これで,スペースと配線工数の削減ができると思いました。」(B氏)
B氏は評価用サンプルを手配し,さっそく実機評価をおこないました。社内評価の結果は非常に高く,E社はほどなく採用を決定しました。
「従来はモータに羽根を取り付けて組み立てていましたが,山洋電気のファンを採用することによって部品の組み立て工程が減り,コストダウンと軽量化にもつながりました。フィルターの状態に応じて風量制御ができるようになったおかげで,省エネをアピールできる製品となりました。またACDCコンバータが不要なため,スペースや配線が不要となり,とても助かっています。これからも山洋電気にはサポートをお願いしたいと思っています。」(B氏)
ACDCファンについて詳しくは「ACDCファンの特徴」もご覧ください。
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