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解決事例
ファンフィルターユニットに求められる「高風量」と「小型化」の両立。

高まる省エネ要求にも応えるべく,搭載ファンに求められた技術革新とは?

空調機メーカーR社 (従業員数:約1,500名)

Problem
課題・問題

クリーンルームは,半導体集積回路や精密機器の製造工場,および食品工場,遺伝子治療をはじめとする先端医療の分野においても欠かせない設備となっています。 さらなる空気の清浄化が求められる分野がある一方,省エネ型クリーンルームのニーズも増えてきています。多種多様なニーズに合わせ,今後もクリーンルーム市場は拡大していくでしょう。
こうした現況から,清浄空間の維持を担うファンフィルターユニットの役割も日増しに高まりをみせています。

FFU開発のジレンマ,「高風量」と「省エネルギー」の両立…

空調機メーカーR社は,半導体製造工場や医療分野向けに,クリーンルームの施工や空気清浄ユニットの提供をおこなっています。近年,精密加工技術の進歩や医療の高度化とともにクリーンルームへの要求は厳しくなり,R社が製造するファンフィルターユニット(以下,FFU)にも,ユーザーからさらなる改善が求められていました。

清浄空間を作り出す FFU は, 陽圧空間を作るために高風量・高静圧性能が求められます。高度なクリーンレベルの維持や制御には莫大なエネルギーコストがかかりますが,その一方で環境意識の高まりとともに一層の「省エネルギー化」も求められるようになっています。

この相反する条件 ── 「高風量化」と「省エネルギー化」を同時に満たすためには, R社にとって技術的にいくつかのハードルを越える必要がありました。

海外メーカー製品が阻む“リードタイム短縮”と“FFU小型化”

R社の FFU には「遠心ファン」が多く使われていますが,国産品はほとんどないため海外メーカーに供給を頼っており,入手に手間がかかる難点がありました。 R社空調システム事業部設計部の O 氏はこのように語ります。

「当社が使用していたファンは米国メーカーのもので,注文してから実際に納品されるまで3週間以上かかっていました。当然送料もかかり,開発リードタイムやコストの面で足を引っ張っていました。必要な風量と静圧を確保しつつ環境性能を満たす ── そのためには現在使用しているファンを見直す必要がありました。」

また, R社は同時に装置の小型化も望んでいました。海外製のファンは,風量・静圧確保の理由からファンの大きさが φ 200~220mm と大型のものしかなく,装置の小型化を阻む要因にもなっていました。小型のファンを使うことで,従来より小型の FFU を開発したかったのです。

課題
  • 「高風量」でありながら「省エネルギー」を求められるが,現状の遠心ファンでは実現できない。
  • ファンのサイズがφ200~220mmと大型に限られるため,FFUの小型化が困難。
  • 海外製の遠心ファンは納期とコストがかかり,装置開発時のボトルネックに。
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