K社は,10年ほど前に医療機器市場へ参入を果たし,現在は病院薬局や調剤薬局向けの散剤・錠剤分包機に内蔵される「集塵機」を主力製品のひとつとしています。
しかし,かねてよりユーザーから,さらなる吸引力アップの要望が寄せられており,吸引力を高めた新モデルの開発に乗り出すことにしました。とはいえ,薬局などの静かな環境で使用される集塵機のため,消費電力と騒音を抑える必要がありました。K社医療機器開発部のF氏はこう振り返ります。
「吸引力向上を図るために,まず,搭載ファンの置き換えを検討することにしました。1装置あたり2台のファンを搭載しているのですが,これを風量の大きいタイプに置き換えようとしたところ,消費電力や騒音の増加がネックとなり,なかなか適切なファンを見つけられずにいました。」
一方でF氏は,現状のファンメーカーの対応に不満を抱いていました。以前,不具合でファンが停止した際の対応が悪く,また風量アップの相談をしても具体的な提案もないなど,不満がたまっていたのです。
「メーカーとしてのサポート体制が整っていることも,ファンの選定における重要なポイントでした。集塵機は直接生命に関わる装置ではありませんが,医療分野で使用される以上,常に高い信頼性が求められます。こうした点を理解し,十分に配慮していただけるメーカーを探していました。」(F氏)
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検討に行き詰ったF氏は,解決策を求め訪れた展示会で,ファンの展示やデモをおこなっていた山洋電気のブースに立ち寄り,これらの課題を相談しました。
後日,K社を訪れた山洋電気の営業担当者は,課題を詳細にヒアリングしたうえで,φ175mm×69mm 厚の遠心ファンを1台搭載するという提案をしました。
「ご提案いただいた遠心ファンは,確かに従来使用していたファンより大きなものでしたが,従来2台使って出していた風量をたった1台で上回ることができると聞き,驚きました。詳しい内容を聞いてみると,従来より大きなファンを,回転数を落として使用することで,高風量を実現すると同時に騒音値も下げることができるとのことでした。さすが,ファンを知りつくした提案だと思いました。
また,このファンはPWMコントロール機能を持っています。状況に応じて回転数を簡単に制御できるので,騒音と消費電力を低減できることもわかりました。」(F氏)
F氏は実機評価のため,山洋電気に評価用サンプルを依頼しました。
「同時に検討していた他社製品はサンプル納品に2ヶ月かかるとのことでしたが,山洋電気はわずか1週間でサンプルを用意してくれたので,速やかに試作機製作に取りかかることができました。また,その高い信頼性について,裏付けとなる信頼性試験や寿命試験などのデータを提出してくれたため,エンジニアたちの不安も一掃され,スムーズに評価を進めることができました。」
こうして社内検証を十分におこなった後に,K社は山洋電気製「遠心ファン」の高い信頼性を認め,採用を決定しました。製品出荷前に“全数検査”を実施していることも,決定を後押ししたと言います。
数ヶ月後に完成した試作機は,期待通り吸引力アップを達成するとともに,省エネ化,低騒音化も同時に実現しました。K社はほどなく新モデルの量産に入り,販売を開始しました。
今回の採用についてF氏はこう語ります。
「ファンの性能もさることながら,ポイントを押さえた提案やスピード感ある対応に感謝しています。心配していたサポートもきちんとしていただけたので,力強いパートナーを得ることができたと思っています。」
遠心ファンについて詳しくは「遠心ファンの特徴」もご覧ください。