検査装置メーカーD社では,新たに開発中だったインラインタイプの基板外観検査装置について課題を抱えていました。
問題となっていたのは検査装置に搭載された高分解能カメラの駆動速度でした。同社設計開発部のA部長はこう振り返ります。
「部品実装装置はTVやPC向けといった大型基板から,スマートフォンやタブレットなどの小型基板へ需要が移ったことで,小型電子部品を高い精度で実装することが求められるようになっています。スマートフォンやタブレットでは製品需要が市場リリース時に集中するため,より短時間で大量に実装する要求が高まっています。これに伴い,生産ラインに組み込まれる基板外観検査装置にも高速化が求められるようになりました。検査速度を上げるにはカメラの駆動軸の高速化が必要ですが,従来機種に搭載しているモータでは推力が不足していました。」
A氏ら開発チームは,カメラの駆動軸の高速化を実現させるため,情報収集に乗り出しました。
情報収集を続けていたA氏は,山洋電気のリニアサーボモータに着目。さっそく担当者に自社の検査装置が抱える問題を相談しました。
山洋電気の担当者は,A氏より課題を詳細にヒアリングした後に,カメラの駆動軸の高速化を図るため,X軸にセンターマグネットタイプ,Y軸にツインタイプのリニアサーボモータを提案しました。提案に満足したA氏はさっそく評価を開始。
「提案してもらったモータは,現行のリニアサーボモータよりも軽量で加速度もカタログスペックで25Gと高く,高速化が期待できました。実機評価でも従来機より加速度が25%向上し,カメラの駆動速度が上がりました。その結果,検査速度の高速化を実現し,タクトタイム短縮につながりました。」(A氏)
「また,センターマグネットタイプのリニアサーボは,山洋電気が業界で初めて製品化したもので,小型で推力が大きくブレ・ひずみが大幅に抑えられるそうです。さらに,モータに発生する磁気吸引力をリニア自体で相殺できる仕組みのため装置機構の小型化・簡素化にもつなげることができ,検査スペースも拡大できました。」(A氏)
A氏は山洋電気製リニアサーボモータの採用を決定し,新型の基板外観検査装置に搭載しました。
今回の採用についてA氏はこう語っています。
「当社にとって最適なリニアサーボモータを提供していただき感謝しています。検査効率とともに生産性全体の向上にも寄与できる装置になったと思います。山洋電気にはこれからもいろいろと相談に乗ってもらいたいと思っています。」
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