業務用厨房機器の製造・販売を手掛けるO社。このほど業務用IH調理器の新モデル開発に乗り出しましたが,いくつかの技術的な課題に直面していました。O社技術開発部のE部長はこう語ります。
「開発中の新モデルでは,既存モデルより大幅に小型化することが必須条件でした。IH調理器内部の熱を排出するために軸流ファンを搭載していますが,小型化のためにはファンの高さがネックとなっていました。そこで,新モデルでは高さを抑えるために,軸流ファンのサイズを小さくしようとしましたが,十分な冷却性能が得られないことがわかったのです。」(E氏)
業務用のIH調理器は,磁界発生コイルが発生する熱を効率よく冷却する必要があります。製品の故障はお客さまの店舗の運営に支障をきたし,売上減少にも直結してしまいます。
新モデル開発を成功させるためにも,十分な性能を持ったファンを見つけ出す必要がありました。
課題解決のため情報収集を続けていたE氏は,とある展示会で山洋電気のブースを訪れ,ブースの担当者に抱えている課題について相談しました。
後日,山洋電気の営業担当者はE氏を訪問し,軸流ファンをブロアに置き換える提案をしました。
「ブロアに置き換えることで,装置全体を大幅に小型化できることがわかりました。ブロアは軸流ファンと違い,吸込口と吐出口が直角になっているので,空気をファン側面から吸い込みます。そこで,ブロアを寝かせて搭載することで装置の高さを抑えることができます。さらに山洋電気製ブロアの期待寿命は40,000時間(*)とのことで,耐久性も問題ないと見込めました。」(E氏)
* L10:残存率90% 60℃,定格電圧,連続運転,フリーエアー状態
提案に強く惹きつけられたE氏は,早速評価サンプルを取り寄せ,試作機に組み込んで評価をおこないました。
「ブロアの場合,高静圧で直進性のある風を送ることができるので,熱源を直接効率的に冷却することができます。これまでの軸流ファンでは風が分散していたために,風を誘導するダクトを作っていたのですが,その分のスペースを削減できただけでなく,設計工数および材料費が削減できました。さらに,PWMコントロール機能により,回転速度を適切にコントロールすることで省エネも期待できます。社内からは非常に高い評価を得られました。」(E氏)
こうしてO社は山洋電気製ブロアを正式採用し,開発中の業務用IH調理器に実装しました。結果,当初の要件通りの仕様で開発に成功し,数か月後にリリースされた新モデルは市場から高い評価を受けました。
E氏はこう語っています。
「おかげさまで多くのお客さまより好評を得ることができました。山洋電気とは長い付き合いになりますが,この先も色々と相談に乗ってもらいたいと思っています。」(E氏)
ブロアファンについて詳しくは「ブロアファンの特徴」もご覧ください。
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