医療・介護用品メーカーR社では,このたび利用者への快適性を向上する電動式ベッドの高機能化に取り組むことになりました。開発部のD氏は次のように語ります。
「電動式ベッドは,寝たきりの方が多く利用しています。長時間同じ体勢が続くと皮膚に圧迫,ムレなどが加わり続け,床ずれの原因になります。床ずれを防止するために,電動式ベッドには体位変換や体圧分散する機能があります。圧迫や摩擦は体圧分散機能で解決できますが,体圧分散すると体とマットレスの接触面が広がり余計にムレやすくなってしまうという課題がありました。」
新モデルの電動式ベッドでは,ムレを解消するため,風を送って内部の湿気を排出することを考えました。
「最初に,エアコンプレッサを使用して換気することを検討しましたが,エアコンプレッサの場合ベッドの脇に設置する必要があります。スペースに余裕がある介護現場は多くないので,床に設置すると邪魔になってしまいます。
そこで,マットレスにファンを組み込むことを検討してみました。しかし,マットレス内部の密度が高くて風が抜けにくいためベッド全体に風が行き届く風量のファンを選んだところ,マットレスの高さより大きくなり,組み込むことができませんでした。」(D氏)
D氏は,現場の設置スペースを考慮し,マットレスにファンを取り組むことを検討しましたが,ファンの性能とサイズで新たな課題に直面しました。
課題を解決すべく情報収集を続けていたD氏は,解決策を求めて訪れた展示会で,山洋電気のブースに立ち寄りこれらの課題を相談しました。後日,R社を訪れた山洋電気の営業担当者は課題を詳細にヒアリングしたうえで,ブロアが適していると提案しました。
「私たちが検討していたのは軸流ファンでした。軸流ファンは背面から空気を取り込んで正面に出す構造なので,ベッド全体に風が行き届く風量のファンだと,大きさがマットレスの高さを超えてしまいました。
しかし,今回山洋電気が提案してくれた『San Aceブロア』は,背面から空気を取り込んで横に吐き出すため,寝かせた状態で配置することができます。
また,『San Aceブロア』は静圧が高いため,内部の密度が高くて風が抜けにくいマットレスにも最適とのことでした。」(D氏)
R社はさっそく「San Aceブロア」の評価用サンプルを依頼し,試作品の評価を実施しました。
「実際に評価した結果,期待通りに風がマットレス全体に行き届き,ムレを軽減できることが確認できました。ムレ対策として最適な提案でした。新モデルではブロアをマットレスに組み込むことができたので,介護現場の限られたスペースでご使用いただくのに重要なポイントになりました。」(D氏)
その後,「SanAceブロア」を正式採用して発売された新製品は,R社の売上に大きく貢献。D氏は,山洋電気には今後も相談したいと話していました。
ブロアファンについて詳しくは「ブロアファンの特徴」もご覧ください。
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