屋外看板も従来の看板からデジタルサイネージへの置き換えが進んでいます。そのようななか,H社では屋外設置でき,現行の機種より薄型化されたデジタルサイネージの新機種を開発するプロジェクトが発足しました。担当エンジニアのK氏は次のように語ります。
「デジタルサイネージには光源があるので装置内部は非常に高温になります。もともとは狭い装置内での高熱光源を冷却するために軸流ファンを採用していました。しかし,本体の厚みを薄型化することで装置内部の空気の対流が悪くなり,現行の軸流ファンでは冷却性能が足りなくなっていました。
新機種の実装スペースはさらに条件が厳しくなるので,現行の軸流ファンによる冷却に限界を感じていました。また新機種は屋外設置もできるモデルのため,雨天時に問題なく使用できる防水性能も必要でした。」
K氏は条件に適した軸流ファンを探しましたが,サイズ・冷却性能・防水性能の条件をすべて満たすファンが見つからず,途方に暮れるばかりでした。
条件を満たすファン探しに苦慮していたK氏は,以前から取り引きがあった山洋電気の担当者に相談したところ,防水遠心ファンを提案されました。
「提案していただいた防水遠心ファンは,これまで採用してきた軸流ファンとは違い,風の流れる方向が後方ではなく,吸込みから吐出しへ90°変わります。特に静圧性能が高いため,実装密度が高い機器の冷却には有利でした。またファンの厚みが35mmなので,薄型化された狭いスペースでも熱交換器のような構造にすることで,効率的な冷却ができるとのことでした。
さらに,もう1つの課題であった防水性能についても,IP54の保護等級により,屋外での使用も問題ないことが確認できました。」(K氏)
「評価をおこなったところ,冷却性能は十分満たしていることが確認できました。むしろ少し余裕があったくらいです。またファンに標準搭載されているPWMコントロール機能もポイントになりました。周囲の温度状況にあわせて最適な回転速度に制御できるので消費電力や騒音も低減できます。
さらに新機種は画面サイズが大型のモデルなので,ファンの実装位置と電源ユニットが離れていたのですが,コネクタやリード線長も装置構造に合わせて柔軟にカスタマイズしてくれました。」(K氏)
これまでデジタルサイネージには軸流ファンを採用していたH社でしたが,今回の開発を経てK氏はこう語ります。
「今回,初めて防水遠心ファンを採用しましたが,これがプロジェクトの成功を決定づけたと考えています。今後も新機種の開発もありますので,その際にも山洋電気からの提案を期待しています。」(K氏)
防水ファンについて詳しくは「防水ファン・防油ファン・耐温ファン・耐Gファンの特徴」もご覧ください。
公開日: