製パン製菓用機械および厨房機械の製造販売をおこなうM社では,パン生地発酵管理システムの新モデル開発に取り組んでいました。開発担当のU氏はこう語ります。
「目指していたのは,さまざまな種類のパンに合わせて最適な発酵を管理できる装置です。新モデルでは,庫内の温度・湿度をより均一にし,発酵ムラが起きないようにするため,ファンを実装することにしました。
各モードの機能の働きに応じて風量をコントロールし,生地を乾燥させることなく,庫内の温度・湿度を均一に保つ必要があったので,電圧で風量をコントロールしようと試みました。しかし,風量を変えられる範囲が狭く,またファンの回転も不安定になってしまいました。
さらに庫内は高湿度で粉塵の飛散も多いため,ファンの防塵・防水性能も重要な条件でした。」
U氏はこれらの条件を満たすファンを探し出すために,情報収集を進めました。
U氏は情報収集を進めるなかで,展示会で山洋電気ブースを訪れ,課題について相談しました。後日,山洋電気の担当者はM社を訪問し,課題を詳細にヒアリングしました。
「山洋電気の担当者が提案してくれたのは,保護等級IP68の防塵・防水性能を備えた防水ファンでした。このファンはPWMコントロール機能も備えているので,簡単に最適な風量コントロールができるとのことでした。」(U氏)
U氏は提案された防水ファンを試作機に実装し,さっそく評価をおこないました。
「当社でPWMコントロールをおこなうのは初めてでしたが,評価用としてBOXタイプのPWMコントローラを提案していただいたおかげで評価がとても簡単になり,評価時間を大幅に短縮することができました。」(U氏)
評価の結果,ファンが期待どおりの性能を発揮したため,M社では採用の検討を始めました。
「ファンを実装するにあたり,標準仕様のリード線では長さが足りなかったのですが,リード線を継ぎ足して延長するとつなぎ目ができてしまい,衛生面や耐環境面に不安がありました。この問題を山洋電気に相談したところ,リード線の長さを延長するカスタマイズの提案をしてくれました。接続コネクタが必要なくなり,つなぎ目も無くなったことで保護対策の設計工数やコストを削減することができました。このプラスαの提案は開発期間の短縮にもつながりました。山洋電気には今後もこのような提案を期待しています。」(U氏)
防水ファンについて詳しくは「防水ファン・防油ファン・耐温ファン・耐Gファンの特徴」もご覧ください。
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