レントゲン機器やCTスキャナーを製造する医療機器メーカーU社。U社では,CTスキャナーの新モデル開発に取り掛かりました。 しかし,U社の新モデル開発は壁にぶつかってしまいました。U社設計開発部のマネージャーE氏は次のように語ります。
「CTスキャナーは人体にX線を360度方向から照射し,X線の透過量を用いて人体の断面を表示する装置です。X線を連続的に照射するため,CTスキャナーの内部温度は急激に上昇します。この温度上昇を抑えながら装置を正常に動作させるため,内部にファンを搭載し,冷却をおこなっています。しかし,X線を照射する部分が高速回転することから,ファンに強い遠心力がかかります。この遠心力に耐えきれず,頻繁にファンが破損するため,定期的なメンテナンス作業が不可欠でした。」
課題解決に悩んでいたE氏は,以前別案件で採用実績のあった山洋電気の担当者にコンタクトを取り,改善策がないか相談。山洋電気の担当者は,E氏の課題を聞いた後に,新製品「San Ace耐Gファン」の評価を提案しました。
「提案していただいたファンは,ローターやフレームの部材を強化することで,75Gという耐遠心加速度を実現していることが分かりました。これは画期的な仕様であり,CTスキャナーで発生する非常に強い遠心力でも十分に耐えられると思いました。」(E氏)
この提案に興味を持ったE氏は,さっそく自社の試作機に組み込み,検証を開始しました。 「医療用機器に使用されるファンには,どんな条件下でも正しく動作する高い信頼性が要求されます。山洋電気のファンを装置に搭載して動作検証したところ,規定外の加減速を加えても破損や変形,異常音,性能低下が発生することなく,正常に動作することが確認できました。これなら,メンテナンス工数の大幅低減が期待できると思いました。」(E氏)
その後,U社は「San Ace耐Gファン」を正式に採用。新製品の開発を終え,現在は市場への展開を実現しています。
「これまでたくさんのファンを検討してきましたが,遠心力に耐えられるファンが見つからずに悩んでいました。今後も山洋電気には画期的な提案を期待しています。」(E氏)
耐Gファンについて詳しくは「防水ファン・防油ファン・耐温ファン・耐Gファンの特徴」もご覧ください。
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