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山洋教室
ファンの基礎知識

12時間目 ファンの耐久性を強化した技術

装置の用途や性能に合わせて,ファンも特殊な環境に設置される場合があります。山洋電気はみなさまの装置が使われる環境に合わせて,特定の耐久性のあるファンをご用意しています。今回は,ファンの耐久性を強化した技術を紹介します。
山洋電気には大きく分けて長寿命,防水・防油,耐温,耐Gの4種類の耐久性対策があります。

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ファンの長寿命化への対策

長寿命化の「寿命」は,3時間目で学んだ期待寿命です。山洋電気の標準ファンの多くは周囲温度60℃のとき期待寿命40,000時間ですが,近年開発した長寿命ファンの多くは期待寿命100,000時間以上です。
3時間目でお話した通り,ベアリングの「グリース寿命」が期待寿命に影響する最大の要素です。そのため,「軸受温度の低減」や「軸受荷重の低減」など,グリース寿命を延ばすための工夫をしています。

▲図1 アルミ製フレーム/樹脂製フレーム
▲図1

例えば図1のように,樹脂製フレームから放熱性の良いアルミ製フレームにすることでベアリングの温度上昇を抑えることができ,「軸受温度の低減」を実現しています。

▲図1 アルミ製フレーム/樹脂製フレーム
▲図1

ファンの防水・防油対策

標準ファンは水がかかると内部の電気部品に悪影響を及ぼして故障してしまいますが,防水ファン・防油ファンは,水や油がかかるような環境でも使用できます。防水・防油対策をしたファンと標準ファンとの大きな違いは2つあります。

1.電気部品であるモータと回路基板に樹脂でコーティングを施し,水や油が浸入しない構造。(図2)
2.羽根とフレームの隙間を広げることで,油の固着による羽根のロックを防ぐ。(図3)

▲図2 標準ファン 保護なし/防水・防油対策 樹脂コーティング

▲図2

▲図3 標準ファン 隙間が狭い/防油対策 隙間が広い

▲図3

ファンの耐温対策

多くの標準ファンは,使用温度範囲(-20℃~+70℃)を高温側でも低温側でもオーバーすると故障または正常な動作ができなくなります。ファンの耐温性を強化すれば,周囲温度が苛酷な環境でも動作できます。山洋電気の耐温ファンは,低温側では-40℃,高温側では+85℃までと使用できる温度環境の幅が広くなっています。構成部品のなかで低温に弱い部品および高温に弱い部品を,どちらでも問題なく動作できる構造・回路にすることで,使用温度範囲のワイドレンジ化を達成しています。

ファンの耐G対策

耐Gの「G」は加速度です。CTスキャナーのような装置に搭載されているファンには,高い遠心加速度がかかります。標準ファンの仕様では,高い遠心加速度に耐えきれず,最悪の場合ファンが装置内で分解する恐れがあります。近年当社が開発した耐Gファンは,高剛性のアルミフレームを採用したうえ,羽根とローターカバーを一体成形する構造を採用し,部品同士の接合強度を増すなど,高遠心加速度に耐えることを可能にしました。

このように,世の中には標準ファンでは対応できない特殊な環境があります。山洋電気ではこれまで培ってきたさまざまな技術を応用してファンの耐久性を強化し,ファン自身に耐久性を持たせました。それにより,装置側での対策を省くことができ,装置の小型化や使用環境の幅を広げることに貢献します。ファンを設置する環境が特殊でお困りの際は,ぜひ山洋電気へご相談ください。

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