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ファンの基礎知識「9時間目」

二重反転ファンの特徴

前回は軸流ファンを紹介しました。今回は軸流ファンの中でも特殊な二重反転ファンについて説明します。

二重反転ファンの構造

二重反転ファンは軸流ファンを直列に2台つないだような構造をしています。ここでは,風を吸込む側のファンを前段,風を吐出す側のファンを後段と呼ぶこととします。

▲図1:二重反転ファンの構造
▲図1:二重反転ファンの構造

前段と後段は羽根の回転方向が異なっており,図2の二重反転ファンに示すように,前段が左回転であれば後段は逆の右回転をしています。
構造的には,2台の軸流ファンを直列にしているだけのようにも見えますが,同じ軸流ファンを2台直列にしただけでは,二重反転ファンと同等の性能は得られません。

▲図2:空気の流れのイメージ
▲図2:空気の流れのイメージ

同じ回転方向の軸流ファンを2台直列にした場合,後段の羽根が前段からきた旋回する風をさらに強く旋回して吐出すため,空気が広がって流れます。
一方,二重反転ファンの場合では,後段の羽根が逆回転することにより,前段からきた風の旋回の流れを弱め,直進的な風の流れになります。

二重反転ファンは,前後の羽根の組み合わせ次第で性能が大きく変わります。
山洋電気の二重反転ファンは,風量・静圧・騒音・寿命を最大限に考慮して設計しています。

詳しくは,設計者インタビューコラム ものづくり最前線(2)二重反転ファンの開発をご覧ください。

二重反転ファンの特性

▲図3:通風抵抗と風量-静圧特性例
▲図3:通風抵抗と風量-静圧特性例

二重反転ファンは前段と後段の回転方向の違いにより,ファン内部の空気の流れる方向が大きく変わるため,同じ最大風量の軸流ファンより静圧が大きく上回ります。8時間目では羽根の表面をきれいに流れたり,渦を巻いたりを繰り返すような不安定な状態の旋回失速領域がP-Q特性の中間付近に存在することを学びましたが,二重反転ファンは,P-Q特性がフラットになる範囲に羽根の旋回失速領域があります。

▲図3:通風抵抗と風量-静圧特性例
▲図3:通風抵抗と風量-静圧特性例

二重反転ファンの具体的な使い方

二重反転ファンは,旋回失速領域がP-Q特性上の左寄りにあるので,最適な使用範囲が広く,通風抵抗が高い装置でも,障害物に負けることなく風を送りだすことができます。
つまり,小型で実装密度の高い装置や,冷却対象物に直接風を当てて冷やすのに適していると言えるでしょう。また,風を遠くまで送るような使い方もできます。

具体的な活用事例をいくつかご紹介します。

1Uサーバーでのお客様事例

課題:
1Uサーバーでの高密度実装を実現するため,冷却効率アップが必要。
小型ファン2台を直列に実装しても必要な静圧が得られず,並列実装もスペースがなく断念。
限られたスペースに収まる高風量・高静圧の冷却ファンが必要。

空気浮上式コンベアでのお客様事例

課題:
空気浮上式コンベアで大型のガラス基板を浮上させる性能を持つファンが必要。
コンベアは数百台も設置されるので,ファンの電力消費量を抑えたい。
静かなクリーンルームの近くに設置されるため,ファンの音を抑えたい。

以上,二重反転ファンについてご説明しました。
山洋電気では二重反転ファンなど,お客様装置の課題解決に貢献できる様々なサイズのファンをラインアップしています。
詳しくは下記カタログをご覧ください。

監修:山洋電気株式会社 クーリングシステム設計部

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