ファンと言えば,家庭で使われる扇風機や換気扇をイメージする人は多いと思いますが,ここで紹介する「冷却ファン」は,装置のなかに設置され,装置を冷やすファンです。近年では,冷却ファンを換気や空気の循環など,冷やす以外の目的で使用する場合も増えています。
ファンの種類は入力電源とファンの形状で分けることが多いです。
入力電源は交流のAC電源と直流のDC電源の2種類あり,一般的にACファンとDCファンと呼ばれます。ファンの形状で分ける場合は大きく分けて,軸流ファン・遠心ファン・ブロアの3つになります。
製品を検索する際に「DC軸流ファン」のような製品名を見かけたら,入力電源がDCの軸流ファンだと分かります。もちろん,メーカーによって,呼び方が異なる場合もありますが,分け方に大きな違いはありません。
▲図1:ファンの断面図
ファンの断面図を使って説明します。
冷却ファンは基本的に図1のような部品で構成されますが,そのなかでも特に重要なのが「ボールベアリング」です。
山洋電気では全機種2ボールベアリング構造を採用しています。これにより,軸受荷重の低減につながり,ファンの信頼性や寿命を向上することができます。
▲図1:ファンの断面図
ファンの回転速度を制御したい場合は,PWMコントロール機能が使えます。PWMコントロール機能とは制御信号のパルス幅を変えて回転速度を制御する機能で,電圧で制御する場合と比較して,幅広く制御することができます。
PWMコントロール機能を使うにはPWM信号を発生させる回路が必要です。自作が難しい場合,山洋電気では「PWMコントローラ」で回路設計をせずにPWMコントロール機能付きファンを活用できます。またファンの回転速度を遠隔で監視・制御できるIoT製品「San Aceコントローラ」もご用意しています。
ファンが装置に搭載されたときに騒音が出たら,ファンが回転する際に装置に当たっている可能性があります。対処法として,防振ゴムなどを付けて振動を吸収する方法があります。また,もう一つの可能性として,装置がファンと共振してしまったことです。この場合は装置の剛性を上げるなどして,ファンの回転速度と装置が共振しないようにする必要があります。
▲図2:通風抵抗と風量-静圧特性例
一方,ファンの本体から音が出る場合の要因は主に3つあります。
風切音:羽根が回転するときに空気を切ることによる音。
電磁音:主にモータのスイッチング音など。
機械音:回転体(ロータ)のアンバランスによる振動音。
これらはファンの製作過程で決まるものですが,「風切音」はPWMコントロール機能などを使用して回転速度を調整することで,下げることができます。ファンは回転速度によって音圧レベルが変化するため,一番音が低いときの回転速度に設定しておけばいいですが,それによって,風量なども変わってしまうので,冷却性能とのバランスを取るのが難しいでしょう。
そのため,最適な冷却性能を保ちながら静音化したい場合は,やはりファン自体を選定する際に,装置の通風抵抗とファンの風量-静圧特性とを合わせて最適な動作点を検討するのが一番おすすめです。
▲図2:通風抵抗と風量-静圧特性例
ファンを装置に実装した時の「風量の数値化」を実現する手段とは?
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ファン台数の削減と冷却性能アップを両立した「遠心ファン」とは
高静圧の“防油ファン”で工場の過酷な環境下でも冷却性能を確保
業界トップクラスの高静圧で,高密度の装置を効率よく冷却する「San Ace 二重反転ファン」
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