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【ファンの基礎知識】4時間目

ファンの風量と静圧

ファンの風量と静圧とは

ファンの風量とは風が出る量であり,静圧とは風が静止した状態で周囲を押す力のことです。静圧が大きいほど,風を遠くまで送ることができます。
ファンの最大風量とは,ファンの吸込口と吐出口に障害物がない状態での風量のことを言います。
ファンの最大静圧とは,ファンの吸込口か吐出口を完全に塞いだ状態で発生する静圧のことを言います。ただし実装状態ではどちらも実現しえない条件なので,装置に搭載されたファンが最大風量と最大静圧になることはありません。

最大風量と最大静圧の定義

ファンの風量と静圧 実装されたとき

では,実装されたファンの風量と静圧はどうなるのでしょうか。
カタログを見てみると,ファンの仕様表とは別に「風量-静圧特性」という曲線が掲載されています。実装状態の風量・静圧はその曲線上にあります。
「風量-静圧特性」は「P-Q特性」とも呼ばれ,ファンの特性を表すもので,ファンの種類や型番ごとに曲線が異なります。今回は一般的な軸流ファンを例にして説明します。

風量・静圧特性例

「風量-静圧特性」を見ると,最大風量は静圧が0Paのポイントであり,最大静圧は風量が0m3/minのポイントであることが分かります。実装状態の風量と静圧はその間のポイントとなります。
ファンの「風量-静圧特性」は回転速度によっても変化し,複数のファンを組み合わせると,装置全体の風量-静圧特性も変わります。

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ファン風量と静圧 回転速度との関係

基本的に,ファンの風量は回転速度に比例し,静圧は回転速度の2乗に比例します。つまり,回転速度を2倍にすると風量が2倍に,静圧が4倍になります。この法則を使用することで,現在の風量と静圧の数値を基に,目的のPQ特性図を概算することができます。

PQ特性例

ファン風量と静圧 組み合わせによる変化

複数個のファンを使用する場合は,直列・並列の組み合わせ方により,全体の「風量-静圧特性」が変化します。例えば,同じファンを2台組み合わせた場合,理論上は直列の場合には静圧が2倍になり,並列の場合は風量が2倍に増加する特性があります。

風量・静圧特性例(直列時)風量・静圧特性例(並列時)

ただし,実環境下では互いの風の流れが干渉してしまい,ファン2台で風量・静圧が2倍まで増加することは稀です。隙間なく並べた場合は,特に干渉の影響が大きくなり,上述した理論値の数値から大きく離れてしまいます。

また,ファン付きの筐体を複数組み合わせた場合,送風能力の低いファンの性能が大幅に低下する可能性があります。例えば,筐体A・筐体Bにそれぞれファンが付けられていて,単体では十分な送風能力があるとします。しかし,それらを1つの筐体に組み合わせると,筐体Aのファンがほとんど機能しなくなることがあるので注意が必要です。

筐体の組み合わせ例

例のように,複数の部品が共存する装置では,筐体ごとに熱設計をギリギリで設定してしまうことがよくあります。そうすると,風の流れにくいところには,ほとんど風がいかない可能性があります。また部品を搭載した時点で,ファンの実装環境が変わってしまうこともあるので,装置を設計する際には気をつけましょう。

ファンの風量-静圧特性の測定・数値化を小型,軽量で実現! 「エアフローテスター」

山洋電気が開発した業界初の可搬型ダブルチャンバーなら,小型で軽量なため,持ち運びができない大型の装置にも取り付けて測定が可能です。
測定方法も通風孔に接続ダクトを取り付ければOK と簡単です。

筐体の組み合わせ例

「エアフローテスター」についてはダウンロード資料で詳しくご紹介しています。

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監修:山洋電気株式会社 クーリングシステム設計部

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