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解決事例
装置内部の風量を正確・簡単に測定したい

「風量の数値化」を実現する手段とは?

情報通信機器メーカーA社(従業員数:約1,000名)
課題
  • ファンを装置に実装した時の風量を数値化したい。
  • 風速計を用いた風量測定は大変。
効果
  • 動作風量※1,通風抵抗※2を高精度かつ簡単に測定できる。
近年,装置の高機能化・高速化による発熱量の増大に応じて,ファンには高い冷却性能が求められています。一方,装置を設計するうえで,騒音や消費電力をできる限り抑えることが重要視されています。限られた時間の中で,適切な筐体設計やファン選定をおこなうために重要な要素が「風量の数値化」です。
※1 動作風量:ファンを装置に実装した際に得られる風量
※2 通風抵抗:装置内部の風の流れにくさ。詳しくは山洋教室ファンの基礎知識:装置の通風抵抗

Problem
課題

通風孔に異物が付着,熱トラブルリスクも

通信機器や制御機器,電源機器などを取り扱うA社。新たな通信装置端末の開発に乗り出すにあたり,従来モデルが抱えていた課題の改善も求められていました。開発部のH部長は次のように語ります。
「従来の装置では,塵やほこりなどの異物が通風孔のフィルタに付着するケースや,屋外向け製品は落ち葉などが付着する可能性も指摘されていました。通風孔に異物が付着すると風量が低下し,その度合いによっては熱トラブルが発生するリスクもありました。そのためカタログスペックから,冷却性能に十分余裕があると考えられるファンを選定していましたが,オーバースペックによる騒音の問題などが発生するケースもあり,評価方法の見直しが必要でした。そこで,さまざまな条件を想定しながら,実装時のファンの風量を数値化できれば,開発の早い段階でも,より適切な筐体設計やファン選定につながると考えたのです。」

しかし,風量を数値化する試みには想像以上の困難がともないました。
「シミュレーションを検討しましたが,導入費用が高額な上にノウハウを持った社員がおらず断念しました。そこで市販の風速計による風量測定を試みましたが,ファンの風速は測定箇所によってばらつきが多く,限られた時間で風量を測定するには精度に不安がありました。」(H氏)

※ファンの風速分布の例
ファンの風速分布の例

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Solution
解決策・効果

ファンの動作風量や装置の通風抵抗が簡単に測定可能に

風量を数値化する試みに行き詰まったA社は,山洋電気が開催していた「最適なファンの選び方セミナー」を視聴しました。そして,セミナーのなかで紹介していた「San Ace エアフロ―テスター」に興味を持ち,山洋電気に相談しました。
「山洋電気の担当者から,ファンの動作風量と装置の通風抵抗などを簡単に測定できると詳細に説明を受けました。説明の後にデモ機を使用して実際に測定してみたところ,風速計よりも簡単に高精度な測定結果を得られることがわかりました。」(H氏)
ファンの動作風量を簡単・高精度に測定できることを確認したH氏は,ほどなく導入を決定しました。

さまざまな条件を想定した筐体設計やファンの選定方法を確立

「San Ace エアフロ―テスター」の導入効果についてH氏はこう語ります。
「動作風量を測定することで,異物が付着したときや保護カバーを搭載したとき,通風孔の形状を変化させたときなど,さまざまなパターンを想定した風量のデータが収集できました。測定したデータを活用することで,より実際に近い環境を想定した筐体設計やファン選定をおこなえるようになりました。」(H氏)

H氏は,「San Ace エアフロ―テスター」にはこの他にも多彩な導入メリットがあると語ります。
「装置の通風抵抗を測定してデータを取得することで,通風孔のフィルタや装置内の部品レイアウトを変えた時の通風抵抗の検証などにも役立てることができます。また測定結果から動作点を算出することで,冷却可否を推定でき,より適切なファン選定ができそうです。今まで数値化できなかったデータを取得できるようになったことで,今後の装置開発にいろいろ役立てられると考えています。」(H氏)

エアフローテスターについて詳しくは「ファンの風量と静圧」もご覧ください。

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公開日:

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