医療機器メーカーB社は,製品の競争力を高めるため,シリンジポンプのコストダウンを目的とした新製品開発を検討していました。B社開発部のA部長はこう説明します。
「装置として2~3割のコスト削減が目標でした。そこで,シリンジポンプ軸のステッピングモータを置き換える案が浮上しました。現行モデルでは5相のステッピングモータとドライバを使用していましたが,2相に置き換えられれば,相当のコスト削減に結びつくと思われました。
また,技術者の退職などで設計技術が伝わっておらず,5相のドライバを設計するのが困難という事情もありまして…技術面でも,2相であれば自分たちでドライバを設計しやすいというメリットがありました。」(A氏)
B社開発部ではさっそく情報収集を始めました。
「5相ステッピングモータを2相に置き換えると騒音が大きくなるという懸念もありました。医療機器は患者さんのそばで使用するので騒音への配慮も必須条件です。
国内外のモータメーカー数社にコンタクトを取りましたが,なかなか要求する性能やコストに見合う提案はなく,モータの置き換えはスムーズにはいきませんでした。」(A氏)
技術展示会に参加したA部長は,山洋電気の担当者に課題を相談しました。
A部長より課題を詳細にヒアリングした山洋電気の担当者は,動作条件を確認したうえで,1サイズ小さな2相ステッピングモータを提案しました。提案に興味を持ったA部長はさっそくサンプルを依頼し,実機評価を実施しました。
「山洋電気は動作条件など,こちらの求める仕様を細かく確認してくださいました。最初は,現行モデルと同じサイズで検討していたのですが,巻線を変更することでサイズダウンしてもトルクは問題ないことが判明しました。
汎用性の高い2相のドライバなら社内にも設計ノウハウがあります。2相に置き換えられれば,今後,仕事の属人化を解消することができます。
懸念していた騒音の部分に関しても,原因となる振動をドライバで制御できました。また,シャフトの微小なガタつきが気になることを相談した際には,山洋電気のカスタム提案で解消できました。さまざまな技術的なサポートをしていただき,騒音を許容範囲内に収めることができました。
評価サンプルにおいても,性能範囲を考慮しトルクミニマム品のサンプルを迅速に提供していただいたので,安心して量産に移行できると思いました。」(A氏)
実機評価の結果,B社は山洋電気の2相ステッピングモータの採用を決定しました。 「山洋電気は当社の要望に対して単に見積もりを提出するだけではなく,課題の聞き取り,カスタマイズなど課題の解決方法の提案,技術者同席による打ち合わせ,騒音値など関連資料のデータ提示など,手厚いフォローをしてくださいました。おかげで無事2相ステッピングモータに置き換えることができ,コストダウンを実現しました。こうした対応に大変感謝しています。今後も山洋電気にはいろいろとお願いしたいと思います。」(A氏)
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