各種通信機器を開発・製造するB社は,屋外に設置でき,5Gにも対応できる通信モジュールの開発を進めています。同社はいくつかの課題を抱えることになりました。B社研究開発部のA部長はこう説明します。
「開発中の製品は,従来品に比べ小型になり,また,増大するトラフィック処理で発熱量が増えるため,冷却性能のアップが非常に重要でした。さらに,ビル壁面など屋外への設置も想定しているため,防水などの耐環境性能も必須でした。」
5G通信の特徴による新たな課題も出てきました。
「従来の4Gの電波は,周波数が低く遠くまで届き,建物などにも回り込みやすい性質があります。一方,5Gの電波は,高い周波数で直進性が高いため,さまざまなものに遮られやすいのです。この問題を解決するには,今まで以上に数多くの基地局を設置していく必要があります。その場合,必然的に人の近くに設置する可能性が高くなります。そのため,冷却ファンの騒音も大きな懸念材料となっていました。つまり,耐環境性能があり,さらに高温の装置内部を冷却しつつ,これまで以上に騒音を低く抑える必要があったのです。」
A氏らはこうした要求をクリアできる,高性能な冷却ファンを探していました。
WEB上で数社のファンを比較検討していたA氏は,スペックの高さなどから山洋電気製品に着目し,代理店を通してコンタクトを取りました。山洋電気の担当者はA氏から課題を細かく聞き取ったうえで,保護等級IP68(*1)の防水・防塵性能を持ち,従来の防水ファン9WPタイプ(*2)に比べ,最大風量は2倍,最大静圧は4倍に向上した「San Ace防水ファン」の9WPAタイプを提案しました。
「IP68の防水・防塵性能があり,業界トップ(*3)の高風量・高静圧など,申し分のないスペックでした。PWMコントロール機能で騒音低減に最適な動作を実現できる点にも惹かれました。」(A氏)
*1 保護等級(IPコード) は,IEC(国際電気標準会議)60529で規定されています。
IP68:
・塵埃の侵入があってはならない
・潜水状態でも有害な影響を生じる水の侵入がないこと
*2 当社従来品は,DCファン □60 × 25 mm厚 「San Ace 60」 9WPタイプ(型番:9WP0612G401,9WP0624G401)。
*3 2020年4月14日現在。軸流DC ファンとして。同サイズの場合。当社調べ。
こうした提案にA氏は満足しました。山洋電気の担当者はさらに技術サポートを提案します。
「当社では装置の騒音値を測定できる環境がなかったため,山洋電気のテクノロジーセンターへ冷却ファンを組み込んだ装置の試作品を送り,測定してもらいました。それにより『San Ace防水ファン』のPWMコントロールによる騒音値の低減を確かめることができました。」(A氏)
試作装置の測定結果に納得したB社は,ほどなくして 「San Ace防水ファン」9WPAタイプの採用を決定しました。
「山洋電気の技術サポートのおかげで,開発目標を達成することができました。当社のニーズを汲んだ提案に感謝しています。さらに,ファンのリード線へのコネクタやチューブの追加など,カスタマイズの相談にも乗っていただけるとのことで,他の案件でも相談してみたいと思います。」(A氏)
防水ファンについて詳しくは「防水ファン・防油ファン・耐温ファン・耐Gファンの特徴」もご覧ください。
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