TECH COMPASS
山洋電気株式会社の製品・技術情報サイト
解決事例
生産ラインでの作業を自動化したい!

ロボット内製化のための部品供給から立ち上げまでワンストップでサポート

電気部品メーカーU社(従業員数:約300名)

Problem
課題・問題

国内外で需要の高まりを見せる製造現場の自動化ニーズ。新興国においては,人件費高騰などを背景に電子機器や自動車分野を中心に普及が加速しており,一方,国内でも製品の品質向上・安全性確保のために,食品,化粧品,医療品分野において検査や梱包を自動化する動きが盛んです。

人手に頼ったコンベアの仕分け作業は課題が山積み…

各種電気部品の設計・製造を手掛けるU社では,自社工場における作業効率について,いくつかの問題を抱えていました。

というのも,同社工場では,加工部品を次工程のコンベアに仕分ける作業の多くを人手に頼っており,生産効率のボトルネックとなっていたのです。加工部品を整列させたり,不良品を取り除くなどの作業は,従業員の熟練度合によって作業スピードにばらつきが出るほか,人的ミスのリスクもありました。また,繁忙期に24時間操業をおこなう必要があり,その期間には人的ミスの発生率が増加するというデータも出ていたため,早急な改善案が必要でした。

ロボットの自社製造を検討するが,ノウハウがなく…

生産効率の向上,作業ミス低減および人件費削減を実現するため,U社ではピッキングロボットを導入しました。しかし,ロボットの導入にはコストがかかり,エンジニアリングの面でもハードルが高いのが問題でした。同社開発部のA氏はこう語ります。

「当社では過去に仕分け業務の自動化のためロボットを購入しましたが,非常に高額な導入コストがかかったうえに,摩耗した部品の交換やメンテナンスはすべてメーカー任せとなっており,ランニングコストも膨大にかかっていました。また,工程改善の際はその都度,メーカーに依頼する必要があり,フレキシブルな対応もできずにいました。」

コストを増大させないため,U社ではパラレルリンクロボットの内製化を考えます。しかしながら,同社にはシステム設計や構築手法など,ロボット製造のノウハウはほとんどありません。独自にロボットを試作するも,アーム部分の強度と軽量化の両立がうまくいかなかったり,ロボット構成部品にさまざまな不具合が発生したりと,開発プロジェクトは立ち上げと同時に難航することに…。

課題
  • 生産効率向上,人件費削減のために他社製のロボットを導入したが,ランニングコストが膨大に。
  • メンテナンスや工程改善にフレキシブルに対応できない。
  • ロボットの内製化を考えるが製造ノウハウがない。

banner_dl_fan_selection_1000x270

Solution
解決策・効果

ロボット内製化実現に向けU社を全面的にバックアップ

ロボット内製化実現のために情報収集を続けていたA氏は,偶然参加した産業機械系の展示会で,山洋電気ブースに展示されたパラレルリンクロボットのデモ機に目を留めます。

ブースの担当者に話を聞いたA氏は,山洋電気は展示中のデモ機だけでなく,内製したロボットを自社工場で活用するなど,ロボット製造に多数の実績を持っていることを知ります。

強く興味を持ったA氏が自社の抱える課題を相談したところ,山洋電気担当者は「コントローラやサーボシステムなどのパーツ提供だけでなく,開発立ち上げの支援も可能です。」と提案します。
「メカニクス系の部品選定から機構提案,また仕分け用トラッキングシステムの画像認識についても技術支援をおこなってもらえると聞き,さっそくサポートを依頼しました。」(A氏)

山洋電気は今回の開発の技術支援にあたり,ロボット制御機能が豊富なコントローラ「SANMOTION C」を提案しました。また,知識や経験が乏しくてもすぐに動作させられるように,基本キネマティクス(*)についても説明しました。
「ワークをA地点からB地点まで移動させるといった基本的な動作であれば,構成するモータの制御を考えなくても,2点のティーチングだけで動きを計算してくれます。その結果,開発工数を大幅に削減できました。」(A氏)

また,悩みの種だった構成部品の不具合についても,材料のカスタマイズや加工精度を上げるための工夫などのアドバイスで,メンテナンスのノウハウを蓄積していきます。さらには図面を提出するなど,山洋電気はU社のロボット内製化実現のために全面的なバックアップをおこないました。

*キネマティクス:多軸ロボットの複雑な制御を簡単におこなうための演算機能

きめ細かい技術提案によって,さらなるロボット開発が可能に

こうしてU社は,一度は頓挫しかけた仕分け用パラレルリンクロボットの開発に成功しました。
期待通り生産効率向上とコスト削減を実現させたU社では,将来的に今回開発したロボットの外販も検討しています。

「パラレルリンクロボット以外にも,直交ロボット・スカラロボット・多関節ロボットの基本キネマティクスがあり,その他のキネマティクスのカスタマイズにも柔軟に対応をしてもらえるとのことで,今後,自社設備のさらなる自動化や外販ビジネスへの拡充にも期待が持てそうです。山洋電気のきめ細かい提案に感謝しています。」(A氏)

効果
  • 部品選定,機構提案,技術支援などでロボット内製化を全面バックアップ。
  • 基本キネマティクスの活用で,ロボット開発工数の大幅な削減。
  • さらなるロボット開発も可能にするきめ細かいサポート。

banner_dl_fan_selection_1000x270

公開日:

モータ・ドライバ
モータのカスタマイズ事例のご紹介(2)
ステッピングモータのカスタマイズの種類・メリットとは
モータ・ドライバ
モータのカスタマイズ事例のご紹介(1)
真空で使うモータとは?用途例とメリットを解説
モータ・ドライバ
モータの疑問を解決
モータとは?モータの役割と種類,歴史と動作原理や構造
モータ・ドライバの事例一覧