家庭向け照明から屋外の大規模なライトアップ設備まで,各種照明機器を取り扱うS社。同社の製品は,現在はLEDを用いたモデルが主流となっています。LEDは白熱灯に比べて発熱が少ないとはいえ,長時間使用するとユニット内部は高温になります。そのため,ほとんどの製品に冷却用のACファンを搭載していますが,このファンが問題を抱えていたのです。S社技術開発部のA氏はこう語ります。
「現行機では,光源の冷却用にACファンを使用しています。ですが,それでも周囲温度が90℃と非常に高温になり,ファンの羽根が変形しファンフレームに接触するという不具合が発生してしまいました。熱で溶けた羽根が遠心力で伸びてフレームに当たってしまったのです。」
A氏は,今回の不具合を受けてこのファンの採用を急遽取りやめましたが,速やかに代替のファンを用意する必要に迫られました。
「高温環境で正常に動作するのはもちろんですが,LEDの寿命は非常に長いため,搭載するファンにも相応の耐久性が求められます。また,LEDを使用する大きなメリットの一つである省エネ性能を活かすためにも,ファンの消費電力をいかに削減するかということも課題となっていました。
高温環境下でも問題なく動作し,耐久性が高く省電力。お客さまに安心してお使いいただくためにも,LEDユニットに適したファンを見つけ出さなければなりませんでした。」(A氏)
LEDユニットに搭載するファンについて情報収集を続けていたA氏は,山洋電気にも問い合わせました。
後日S社を訪れた山洋電気の担当者にファンの課題を相談したA氏は,DC電源の「長寿命ファン」の提案を受けます。
「DC ファンはACファンに比べ高効率で期待寿命も長いため,今回のような環境にも適していることを説明してもらいました。長寿命ファンを使用することで,高温環境下でも期待寿命が現行ファンの7.2倍,消費電力を70%近く低減することができると聞き驚きました。」(A氏)
提案に強く興味を持ったA氏は詳しく話を聞くことにしました。
「ファンは周囲温度が15℃上昇すると寿命が約半分になるそうです。提案いただいた長寿命ファンの期待寿命は周囲温度60℃で180,000時間でした。90℃の場合,45,000時間。現行のACファンは,周囲温度60℃で25,000時間の期待寿命だったので,90℃で6,250時間にしかならないということがわかりました。」(A氏)
しかし,それでも「本当に90℃という高温環境でも問題なくファンが動作するのか不安だった」というA氏。これに対し山洋電気は試験データを提出しました。
「山洋電気の長寿命ファンは100℃以上で試験をおこなっているとのことで,実際に12,500時間回転させたデータを出してもらいました。十分な耐久性を持つことがわかり,不安が一気に解消しました。」(A氏)
A氏はさっそくサンプルを取り寄せ,実機評価に取りかかりました。
「実機評価の際にも,電子部品を高温対応のものに交換するなど90℃での動作保証に対応するためのカスタマイズや,ファンの寿命を伸ばすアドバイスやサポートをしていただきました。」(A氏)
こうして十分に要件を満たせることを確認したS社は,山洋電気製「長寿命ファン」の採用を決定しました。
「きめ細かなサポートのおかげで,LEDユニットに最適なファンを搭載することができ,感謝しています。また,周囲温度-40℃から85℃の環境下での使用を保証する「耐温ファン」という新製品にも,期待しています。」(A氏)
長寿命ファンについて詳しくは「ファンの寿命」もご覧ください。
耐温ファンについて詳しくは「防水ファン・防油ファン・耐温ファン・耐Gファンの特徴」もご覧ください。
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