タイや中国などのアジア市場に向けた新モデルの開発を進めている切削加工機メーカーY社。設計開発部のS氏は,新製品の仕様について課題を抱えていました。
「電源事情が良くない地域も多いので,停電が発生した場合でも作業を継続できるように,装置の各軸にはアブソリュートエンコーダ付きのサーボモータを使用しています。しかし,アブソリュートエンコーダが軸の位置を保持するためには,データ保持用のバッテリが必要です。このバッテリが切れるとエンコーダエラーが発生し,作業が再開できないだけでなく,生産物の破棄につながる場合もあります。装置には多数のモータが搭載されているので,定期的にかかるメンテナンス工数の削減が課題となっていました。」(S氏)
問題は,電源事情だけではなく,人的な点にもありました。
「アジア地域の工場では,まだ生産ラインの作業者も作業に不慣れなことが多く,装置のエラーが発生した際の原因特定が難しく,生産現場の混乱に繋がります。そのため,装置が止まる度に,当社の技術者が工場に出向いていました。アブソリュートエンコーダについてまわるバッテリエラーのような単純なトラブルは回避したいと考えていました。」(S氏)
装置のトラブルを減らすために,S氏は情報を集めていました。
情報収集を続けていたS氏は,山洋電気の担当者に現状を伝えて相談しました。
山洋電気の担当者は,S氏が抱える課題を,バッテリレスアブソリュートエンコーダで解決できると提案しました。
「バッテリレスアブソリュートエンコーダ『Model No.HA035』は,不揮発性メモリ内に位置データを記憶するので,位置情報の記憶に必要なバッテリが必要ありません。そのため,バッテリ交換の手間もコストもかからずメンテナンスフリーを実現できます。バッテリ切れによる装置トラブルは一気に解決できます。」(山洋電気担当者)
早速,S氏はサンプルを取り寄せて評価を開始しました。
「バッテリレスのメリットは非常に大きいですね。画期的です。装置内に多くのモータを搭載していますから,定期的に発生していたバッテリ交換のコストやメンテナンス工数が削減できるのは大きなメリットです。バッテリが不要になったので装置の省スペース化も期待できました。15Gの環境振動をもち,-20℃~+105℃の温度範囲で使えることなどもポイントとなりました。」(S氏)
また,コネクタ加工などの細かなカスタマイズ対応や,山洋電気のグローバルなテクニカルサポート体制も,Y社にとっては魅力的だったと言います。
「無事に新製品の開発が終わり,海外進出も順調です。山洋電気には,また次の開発でも相談したいです。」(S氏)
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