国内外に向けて各種精密加工機を製造販売するO社。近年,同社は海外メーカーとの間での価格競争が厳しさを増し,苦戦を強いられていました。こうした状況を打破するための新モデル開発に取り組んでいた同社設計部のF部長はこう語ります。
「当社はあくまで高い加工精度で差別化を図っていくつもりでした。しかし,精密加工機市場においては,中国や韓国,台湾に加え,欧州製品などとの間で価格競争が激化していて,非常に厳しい状況です。」(F氏)
設計部では加工精度を維持したまま,高速化に加え,小型化,低コスト化の実現を図るべく新モデルの開発を進めていました。しかし,開発を進めるなかでいくつかの課題に直面していました。
「開発中の新モデルでは,加工テーブルの送り速度を向上させるために試行錯誤を繰り返した結果,モータ自身のイナーシャが速度の向上を妨げているという結論に至りました。短い距離をくり返し高速動作するために,加速度が不足していたのです。そこで,より加速度の出せるモータを探す必要がありました。」
情報収集を続けていたF氏は,山洋電気に相談しました。
山洋電気担当者は課題の詳細にヒアリングした後,俊敏性に優れている「SANMOTION R」低慣性モータを提案しました。
「低慣性モータはモータ自身のイナーシャが低いため,高速回転域まで瞬時に加速できることが分かりました。現行モータより角加速度が20%向上したので,テーブルの送り速度の向上ができると期待できました。また,低慣性モータを使用することで,位置整定精度も向上するそうです。これなら,精度を維持しながら送り速度の向上が実現できると思いました。」(F氏)
さっそく,サンプルを取り寄せ,実機評価をおこないました。F氏はこう語ります。
「実際に装置にモータを組み込んだところ,加工テーブルの送り速度が15%向上し,サイクルタイムの短縮が実現できました。また,モータ長が現行モータより18%低減し,質量も21%低減したことで装置の小型化にも繋がりました。」
満を持してリリースされた新モデルは高い加工精度を実現し,国内外で高く評価されています。「山洋電気には最適な提案をしていただき感謝しています。これからも色々と相談に乗ってもらいたいと思います。」(F氏)
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