自動車部品メーカーC社は,自社の工場において,サーボモータを多数搭載した生産設備を稼働しています。
同社はこのほど,長年使用してきたDCサーボモータが生産中止になることを受け,モータの置き換えを検討していました。ところがいくつかのメーカーのモータを調べたところ,既存の設備とサイズが一致するモータは,すでに市場に流通していないことが判明したのです。C社開発部D氏はこう語ります。
「既存のモータは設計が古く,現在のモデルとは寸法が異なっており,新しいモータを取り付けるためには駆動部周辺の再構築を含めた,大幅な改造を加える必要がありました。しかし,できるだけ予算を抑えるよう上層部から指示を受けていたため,大きな改修はおこなえないという実情がありました。」(D氏)
また,モータや電子部品には高い耐環境性能も求められます。
「当社の工場では,製造工程で発生する粉塵やミストが電子部品の早期破損の要因になっており,モータだけでなく,アンプにも耐環境性能が必要でした。」(D氏)
さらに,C社は,国内だけでなく,グローバルに事業展開をしています。
「全世界の工場で導入している装置なので,置き換えは相当な数になります。できるだけ一装置あたりの置き換えコストを抑える必要がありました。」(D氏)
サーボモータの選定に悩んでいたD氏は,取引実績のあった商社より山洋電気を紹介されました。山洋電気の担当者はD氏から課題をヒアリングしました。その後,ACサーボモータ「SANMOTION R」を提案。C社の既存設備で使用できるように,モータのシャフト形状をカスタマイズする提案をおこないました。
「シャフトの改造だけで既存の設備を変更せずにレトロフィットが可能になるとのことでした。こうしたカスタム対応の提案は山洋電気だけでした。」(D氏)
山洋電気の担当者は,課題である粉塵やミストへの対策についても検討しました。モータは標準でIP65を取得しているので対策は不要と分かりました。しかし,モータに電力を送るアンプには対策が必要で,アンプに搭載している複数の基板に特殊コーティングを施すことで,耐環境性能を高めることができるとのことでした。この提案にD氏は,工場の使用環境でも耐えられると期待を持ちました。
山洋電気は引き続きD氏とミーティングを重ね,課題に対してさまざまな提案をしました。
「山洋電気の技術サポートチームが,実機の稼働状況をもとに必要なトルクを計算し,改めてモータ選定をおこなってくれました。その結果,巻線をカスタマイズすることでアンプ容量を1ランク下げられることが分かりました。これは,置き換えコストの削減につながる重要な提案でした。
さらに,山洋電気のバッテリレスアブソリュートセンサ内蔵のサーボモータは,停電時の再始動が容易になること,定期的にブラシ交換が必要なDCサーボモータが,ACサーボモータになることでメンテナンスフリーになるなど,副次的効果も見込める提案でした。」(D氏)
こうしたメリットを評価したD氏は,山洋電気製サーボモータ「SANMOTION R」の正式採用を決め,さっそく装置へ置き換えしました。
「結果的に,既存設備の操作性やインタフェースを変更することなく,新しいモータとアンプに置き替えることができました。また,置き替えにかかる作業工数も当初の予想より大幅に削減できました。
今後,世界中の工場への展開を控えているので,引き続き山洋電気のサポートに期待しています。」(D氏)
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