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解決事例
再生医療への提案~遠隔操作のピペットロボットを実現したい

プロジェクトに貢献した山洋電気のノウハウと共創ビジネスとは

建設業(従業員数:8500名)
課題
  • 遠隔ピペットロボット開発に向けて,サーボモータメーカーとしてサポート体制を構築
効果
  • シリンダリニアモータで装置をスリム化,EtherCATで遅延なしの遠隔操作を実現
  • 実験成功!得意分野を生かす共創関係が成功のカギに

お客さまプロフィール

大成建設株式会社 様

事業内容

建設土木

URL

https://www.taisei.co.jp/

 

ソフトバンク株式会社 様

事業内容

通信サービス

URL

https://www.softbank.jp/

 

現在,日本国内における再生医療の急速な進展により,細胞培養の需要が大幅に拡大しています。その一方で,細胞培養に関わる人材不足が大きな課題となっており,人材不足を補うための技術開発が急務とされています。
このような背景のもと,大成建設とソフトバンクによる「5G×ロボットアームの細胞培養実証実験」が企画され,当社もそのプロジェクトに参画しました。

Problem

遠隔ピペットロボット開発に向けて,サーボモータメーカーとしてサポート体制を構築

ゼネコン大手の大成建設では,新規技術開発のプロジェクトを立ち上げ,“生産施設(医薬品・食品工場など)の省人化”に向けた新しいコンセプトの「遠隔操作システム」の開発を始めました。

その一環として大成建設はソフトバンクと共同で,細胞培養用ピペットロボットを5Gで遠隔操作するシステムの開発・実証実験に乗り出しました。

ピペット作業とは,微量の液体を吸引・吐出・計量するもので,細胞などにダメージを与えないようにする必要があります。そのため,遠隔操作にはロボットアームの遅延なく緻密な動作が求められます。しかし,前例のない試みだけに,いくつもの技術的なハードルがありました。

まず,操作側の動作を遠隔側のロボットに伝えるために,操作側の位置情報を正確に取得する必要があります。また,当初,遠隔側のロボットハンドには,回転型のサーボモータが検討されていたため,回転動作を直線動作に変換するための「ラック&ピニオン機構」を付ける必要がありました。しかし,それでは,装置が大きくなるため,改善が求められていました。さらに,操作側と遠隔側の動作に遅延が生じてはいけないので,人がずれを感じない範囲(0.2秒以内)に収める必要がありました。

【操作側(東京)】
【操作側(東京)】

【細胞培養器具の設置側(大阪)】
【細胞培養器具の設置側(大阪)】

写真提供:大成建設

こうした課題に対し山洋電気は,サーボモータメーカーとしてサポート体制を構築し,FAシステムで蓄積したノウハウをもとに,いくつもの解決策を提案しました。

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Solution

シリンダリニアモータで装置をスリム化,EtherCATで遅延なしの遠隔操作を実現

操作側
【操作側】

5Gによる遠隔ピペット作業を成功させる―この前例のない取り組みを実現するために,大成建設と5Gネットワークを構築しているソフトバンクは,山洋電気のほか,医療理化学機器メーカーのニチリョー,電気制御の松浦電弘社とコンタクトを取り,それぞれの技術を持ち寄りロボットの開発を続けました。

山洋電気はまず,操作側の位置情報を取得する課題を解決するため,ピペットの製造を手掛けるニチリョーにエンコーダ単体と,エンコーダを取り付けるノウハウを提供しました。

操作側
【操作側】

続けて,遠隔側のアーム駆動用に検討されていた回転型サーボモータについても,小型シリンダリニアサーボモータへの置き換えを提案しました。このリニアサーボモータは幅寸法が 12mmながら,定格推力 5.1N の大推力が出るので,要求されるトルク(ピペットのばねを押せる力)を十分クリアできました。さらに,リニアエンコーダ(光学式インクリメンタル)とリニアガイドを内蔵しているので,ラック&ピニオンの機構を完全になくすことができました。この提案により,遠隔側の機構がシンプルかつスリムになりました。

遠隔側
【遠隔側】

また,操作側と遠隔側の遅延を最小化するため,EtherCATによる高速通信を提案しました。その結果,操作側の作業を「DC48 EtherCAT Rアンプ」を経て,遠隔側の「シリンダ型リニアモータ」へと,正確かつ遅れを感じない範囲(0.03秒)で伝達することに成功しました。
これに加えてピペットの動作確認の際には,人手による作業を数値化することにも成功しています。これにより,AI学習などさらなるイノベーションの可能性にもつながりました。

実験成功!得意分野を生かす共創関係が成功のカギに

このように,大成建設とソフトバンクのプロジェクトのもとに複数の企業が集結し,次々と技術的課題を解決していきました。
2021年3月,大成建設とソフトバンクは東京と大阪間において,5Gと4Kモニタを使用した遠隔操作のデモンストレーションを実施。無事に遠隔のピペット作業を成功させました。各社が共創関係を構築し得たことが,こうした高度な実験を成功に導いたと言えるでしょう。
山洋電気はFAシステム構築で蓄積したノウハウを活かし,今後も新しいビジネスの創出に貢献していきます。

大成建設株式会社 What's New 掲載記事
5Gとロボットアームを活用した細胞培養のピペット作業の遠隔操作に成功 | 2021年度 | 大成建設株式会社 (taisei.co.jp)

当社 Information 掲載記事
当社の小型シリンダリニアサーボモータが,大成建設株式会社の「細胞培養向けピペット作業遠隔操作システム」に採用されました

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公開日:

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