近年UPSに使用されるようになった「リチウムイオン電池」は,従来の「鉛電池」と比べて,さまざまな特長があり注目されています。
ただお客さまからは「バッテリー寿命が長いのはわかるけど,結局高いんでしょ?」という声を聞きます。
実際のところはどうなのでしょうか?今回はリチウムイオン電池の「特長」と,コストも手間も省けて“実はお得がたくさん”な「理由」をご紹介いたします。
近年さまざまな産業で急速に採用されているリチウムイオン電池。そのメリットはどこにあるのでしょうか?従来からUPSに使用されている鉛電池と比較しながら,ご紹介いたします。
鉛電池の寿命が一般的に「2~5年」※1と言われているのに対して,リチウムイオン電池は寿命が約「10年」※2であると言われています。10年というのはUPS自身の装置期待寿命と同等のため※2,一度もバッテリー交換をすることなく,装置買い替え時期を迎えることができるメリットがあります。一方鉛電池の場合,1回~2回のバッテリー交換が必要となります。
※1 周囲温度が25℃の場合。
※2 SANUPS A11Kシリーズの場合。
リチウムイオン電池は「非常に小型で軽い」というメリットがあります。そのため,電池を搭載するUPS本体も非常に小型・軽量化することができます。鉛電池のUPSと比較すると「体積にして約半分※3」に小型化できる機種もあれば,質量にして「約40%・30㎏以上軽量化※3」できる機種もあります。
できれば場所を取りたくないモノですから,小さくなるのは嬉しいですね。
※3 容量とバックアップ時間により異なります。詳しくはお問い合わせください。
▲体積・容積比較〔鉛UPS-リチウムイオンUPS〕
鉛電池と比較して,以上のようなメリットがあるリチウムイオン電池UPS。ただしお客さまからは「安い鉛で十分だよ。」という声をよく聞きます。
そこで,これから「リチウムイオン電池の方が,トータルコストや手間を削減し,総合的に考えるとお得です!」と山洋電気が自信を持ってお伝えする「3つ」の理由をご説明します。
バッテリー寿命での比較の通り,リチウムイオン電池は寿命がUPS本体の寿命と同等の「10年」※1であるのに対して,鉛電池の寿命は「2~5年」※1程度です。これは,UPSを購入してから買い替え時期が来るまでに,1回~2回のバッテリー交換が必要であるということを意味します。
それにかかる費用は「バッテリー本体代」だけではなく,「交換作業費」も発生します。交換用バッテリー代と作業費を考慮すると,トータルコストでリチウムイオン電池UPSの方が安くなるケースもたくさんあります。
※1 周囲温度が25℃の場合。
UPSのバッテリー交換には,費用だけでなく手間も発生します。
バッテリー交換の手間は,問い合わせやバッテリー選定だけではありません。交換の際はUPSの電源を落とすことにともなう周辺機器への配慮など慎重におこなう必要があり,それには外部業者への費用が発生することもあります※4。リチウムイオン電池であればバッテリー交換自体がなくなりますので,手間なく安心してUPSを使用することができます。
できることなら,UPSの買い替えまでに一度もバッテリー交換することなく,手間も費用もかけずに済ませたいですよね。
またUPSの大きさ,装置質量での比較の通り,リチウムイオン電池UPSは大きさや質量も小さくなるため,UPS設置時の作業の手間も軽減することができます。
※4 ホットスワップ機能で負荷停止せずにバッテリ交換を行う事も可能です。
バッテリー寿命の違いは交換費用だけでなく,意外と知られていないもう一つの大きなコストメリットを生み出します。それは,リチウムイオン電池の方がバックアップ時間が短いUPSを選ぶことができるという点です。
実は,鉛蓄電池の特性として経年劣化による「容量低下」というのがあります。この「容量低下」とは,年数が経過することにより停電時にバッテリーから負荷機器に電力供給する時間,つまり,バッテリー保持時間が減少してしまうものです。
負荷装置(800W)を自動シャットダウンするために,10分のバックアップ時間を必要とするケースを例にとってご説明します。
鉛蓄電池UPSの場合,経年劣化によりバッテリー寿命期である5年後のバックアップ時間が半分以下になるため,「初期30分品」を選定する必要があります。
さらに,装置寿命までにバッテリー交換が必要になります。
一方リチウムイオン電池UPSの場合は,10年経過後も初期バックアップ時間の80%以上※5を維持できるため,「初期13分品」を選定すれば,装置寿命の10年後でも10分のバックアップを維持することができます。
鉛電池UPSの初期30分品より,リチウムイオン電池UPSの初期値13分品の方が本体代が安くなる機種※6もございますので,リチウムイオン電池UPSは初期費用の面でもお得なのです。
※5 周囲温度25℃(平均),年平均10回の放電の場合,10年後のバックアップ時間を初期の80%程度維持。
※6 当社A11Kの1kVA の鉛電池UPSとリチウムイオン電池UPSで比較。
これらの点をふまえると,「高い!」と思っていたリチウムイオン電池UPSも,結果的には鉛電池よりも費用を抑えられる場合がたくさんあります。
製品 | 機種代 | 交換用バッテリー代 | 交換 作業費 |
交換作業 の手間 |
鉛蓄電池 | 初期値のバックアップ時間が, 必要値の倍以上あるUPSが必要 |
1回~2回必要 | 1回~2回必要 | 1回~2回必要 |
リチウムイオン 電池 |
初期値のバックアップ時間は 必要値+α程度でOK |
必要なし | 必要なし | 必要なし |
当社ではリチウムイオン電池UPSを複数ラインアップしております。今回は,その中でもおすすめの「SANUPS A11K-Li」の特長とラインアップをご紹介します。
自動車部品メーカーA社(従業員数:5000人)
自動車部品メーカーA社。同社では工場内の検査装置のバックアップ用に,UPSを導入しています。UPSには停電が発生した際,データを安全に保存しシャットダウンするため,10分のバックアップ時間が必要でした。
工場長のY氏は当時の悩みをこう話します。
「24時間365日工場は稼働しているため,検査装置を止めることは絶対にできません。UPSのバッテリー交換の際はバイパス給電に切り替え運転していますが,その時停電になれば,検査装置も停止してしまいます。そのリスクをなくすため,できればバッテリー交換自体をなくしたかったのです。リチウムイオン電池UPSのバッテリーが長寿命なことは知っていましたが,高価なイメージがあり,手が出せませんでした。
コスト面での課題をヒアリングした山洋電気の営業担当者は,このように提案します。
「リチウムイオン電池UPSは高価なイメージもありますが,バッテリー交換の費用や,機種選定の際のバックアップ時間を抑えることを考えると,必ずしも高いとは言えないのですよ。」
Y氏はその話に興味を持ち,より詳しい話を聞きました。その時のことをこう語ります。
「バッテリー交換費用の削減はなんとなく想像できたのですが,バックアップ時間の点はとても驚きました。バックアップ時間が10分必要なのに対して,今まで経年劣化を見越し,初期値30分の機種を選んでいたことがわかりました。それがリチウムイオンUPSでは13分でよい※7とのことでしたので,機種代を見積もってみると,なんとリチウムイオンUPSの機種代の方が安くなってしまったのです。」(Y氏)
Y氏は本格的に導入に向けた検討を始め,ほどなくUPS『SANUPS A11K-Li』を導入しました。
「当初のバッテリー交換回数を減らしたいという悩みだけでなく,初期の機種代から低コスト,その上バッテリー交換コストも抑えられるという,一石三鳥の結果となりました。本当に満足しています。」(Y氏)
※7 周囲温度25℃(平均),年平均10回の放電の場合,10年後のバックアップ時間を初期の80%程度維持。
監修:山洋電気株式会社 営業本部 パワーシステムビジネスグループ
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