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停電の基礎知識と対策「4時間目」

停電対策装置-非常用発電機とUPSの違いとは

前回までは,送電側と受電側のさまざまな電源トラブルについて学んできました。今回はそれらの電源トラブルから電気機器を守る対策について学んでいきましょう。

停電対策装置 - 非常用発電機とUPSの違いとは

停電対策装置について,みなさんの頭の中に浮かぶのは非常用発電機でしょうか。一般企業や公共施設に設置されている非常用発電機は,停電時に発電し設備に電力を長時間供給することができます。しかし,発電機は停電してから発電を開始し,電力を送り出すまでに,1分程度の時間が必要となります。また,電力会社が供給している商用電源とは異なり,電圧だけでなく,周波数が不安定になることもあります。
非常用発電機は長時間の「停電」対策には向いていますが,前回まで学んできた「瞬停・瞬低」や「高調波」などの電源トラブル対策には適していません。

その他の停電対策装置としてUPS(無停電電源装置)があります。これは搭載された蓄電デバイスによってきれいな電力を供給するものです。そのため,「瞬停・瞬低」などの電圧異常や周波数異常など電源トラブルの対策装置として使われます。

発電機 UPS(無停電電源装置)
動力源 動力による発電 蓄電デバイス
停電してから設備に給電するまで 40-60秒の準備時間が必要 無瞬断(0秒)
目的 電気を供給 瞬低・瞬停の対策
設備を安全に停止

停電対策装置 - UPSの蓄電デバイスの種類とは

UPSが供給する電気のもとはバッテリなどの蓄電デバイスであり,その種類によって,UPSの特徴が大きく変わります。
蓄電デバイスは,鉛蓄電池,ニッケル水素蓄電池,リチウムイオン蓄電池,電気二重層コンデンサの4種類が一般的です。UPSに搭載されるのは鉛蓄電池と電気二重層コンデンサが主流です。

鉛蓄電池 ニッケル水素蓄電池 リチウムイオン蓄電池 電気二重層コンデンサ
(キャパシタ)
一般的なバックアップ時間 5分以上 5分以上 5分以上 5分以上
充放電回数/年 約20回以下 約300回以上 約800回以上 原理的に無制限
期待寿命 3-5/7-8年 約10年 約10年 約10年
費用
体積当たり総蓄電量

1 鉛蓄電池

比較的安価なため,UPSに搭載される蓄電池として主流です。5分以上の比較的長いバックアップ時間が必要な場合に有利ですが,充放電回数が多くなると寿命が短くなる特性を持っています。

2 ニッケル水素蓄電池・リチウムイオン蓄電池

各特性は鉛蓄電池より期待寿命と体積当たりの蓄電容量に優れ,充放電への耐久性も高いですが,高価なため,UPSに使用されることは少ないようです。

3 電気二重層コンデンサ(キャパシタ)

電気二重層コンデンサはキャパシタとも呼ばれます。瞬間的に大きな電気を溜めたり放出したりできる特長があることから,瞬低・瞬停対策用の装置に適しています。また,蓄電池と異なり,充放電のしくみが化学反応ではないので,充放電による劣化が少なく長寿命です。一方,大きな電力を蓄える用途には向きません。

これらの蓄電デバイスの種類によって,メンテナンス費用も変わります。初期投資が少々高くても,メンテナンス費用を抑えたい場合は,期待寿命が長い蓄電デバイスを選択する場合もあります。UPSは,蓄電デバイスと給電方式を組み合わせることで,さまざまな電源トラブルに対応できます。次回から,UPSの給電方式を一緒に学んでいきましょう。

執筆者:山洋電気株式会社 営業本部 シニアセールスエンジニア 西澤 敏幸

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