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【UPS丸わかり】バッテリー交換

UPS(無停電電源装置)のバッテリー寿命や交換方法,処分廃棄方法,アラームについてまとめて解説!

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UPSのメンテナンスといえば,「バッテリー交換」がもっとも定期的に発生する作業かと思います。ですがバッテリー交換と言っても,いつどのタイミングでどうやって交換し,交換したバッテリーはどうするの?など,実は確認しなければならない点がたくさんございます。

本記事では「まとめて知りたかった!」バッテリーの交換時期・交換方法や処分廃棄方法,アラームについて,ご紹介していきます。

1. UPS(無停電電源装置)のバッテリー寿命(交換時期)はいつ?

UPSのバッテリー寿命は,周囲の使用環境によって異なりますが,一般的に鉛蓄電池の場合「2~5年」,リチウムイオン電池の場合「10年」と言われています。

詳細ページ:UPSのリチウムイオン電池と鉛蓄電池を徹底比較!

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2. UPS(無停電電源装置)のバッテリーを交換しないとどうなるの?

バッテリーは寿命を超えたからと言って,その日から突然まったく電気を供給しなくなるというものではないため,交換が後回しになってしまうケースもあるかもしれません。

では,寿命を迎えたバッテリーを交換しなかった場合,どんな問題があるのでしょうか?

バックアップが正常に行われないリスク

UPSのバッテリーは,長年使用するとともに蓄電能力が徐々に低下していきます。そして鉛蓄電池の場合,蓄電能力が新品から半分になったところを寿命と定義しています。蓄電能力とはすなわちUPSのバックアップ時間のことですので,バッテリーが寿命を迎えたUPSはバックアップ時間が新品の約半分になっているということです。

本来UPSを選定する際は,バッテリー寿命時のバックアップ時間も考慮して選定を行うのでそれ自体は問題ありません。しかし,寿命を超えてバッテリーを使用し続けた場合は短期的に蓄電能力が減少していきますので,いざ停電や瞬低が発生した際,想定していたバックアップ能力を確保できず,データ喪失などのリスクに繋がってしまいます。

▼バッテリーの経年劣化とバックアップ時間
▼バッテリーの経年劣化とバックアップ時間

発煙火災などのリスク

寿命を超えたバッテリーを交換しないで使用し続けた場合,物理的なリスクも伴います。日本電機工業会(JEMA)では,バッテリーの液漏れや,異臭・発煙・発火などの二次障害について,注意を促しています。

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3. UPS(無停電電源装置)のバッテリー寿命(交換時期)はどうやってわかるの?

バッテリーはおおよその寿命はあるものの,使用環境や周囲温度で,実際寿命を迎える時期はまちまちです。
それではバッテリーが寿命を迎えているかどうか,どのように判断するのでしょうか?

アラームが鳴る

UPSの中には,バッテリー寿命が来るとアラームが鳴るように設定されている機種がたくさんあります。

一例として,当社製品”SANUPS E11B”のバッテリー寿命警告表示をご紹介します。以下図のように,ランプとブザー音にて,バッテリー交換のタイミングをお知らせします。バッテリー余命が残り半年になったらランプがオレンジ色に「点滅」しますので,バッテリー交換の準備を始めるタイミングです。一方すでに寿命を迎えている場合,オレンジ色に「点灯」します。この場合早急にバッテリー交換をする必要がございます。またどちらの場合も「ピピピピピ」と5回のブザー音を繰り返してお知らせします。

バッテリー寿命の警告表示

UPSに貼られている,設置日・バッテリー交換日ラベルを確認する

UPSを設置した際や,前回バッテリーを交換した際に「設置日・バッテリー交換日ラベル」を貼っている場合,そちらを確認します。設置日もしくは交換日から,バッテリー寿命時期を算出し,ある程度交換時期の参考にすることができます。

設置日・バッテリー交換日ラベル

バッテリーテストを行う

バッテリーテストの機能を持つUPSの場合は,定期的なテストを行うこともバッテリーを管理する上で重要です。バッテリーテストとは,UPSのバッテリーから接続されている負荷機器に,正常に電源が供給されるかをテストするUPSの機能です。

当社製品”SANUPS E11B”の場合,BATT.TESTのボタンを長押しすると緑のランプが点滅し,バッテリーテストが始まります。緑のランプが点灯しブザー音もならない場合,バッテリーから正常に電源を供給していることがわかります。一方電源供給が正常に行われていない場合,緑のランプが点滅し,「ピピピピピピピ」と7回のブザー音がなります。その際は,すみやかにバッテリーを交換する必要がございます。

バッテリテスト結果表示

UPS本体の寿命も,あわせてご確認ください!

バッテリー交換の時期がきたら,バッテリー寿命だけでなく,装置寿命が来ていないか確認をお勧めしています。というのも,バッテリーの寿命は一般的な鉛蓄電池です2~5年のものが多いです。一方UPS本体の寿命は5~15年ですので,1回目もしくは2回目のバッテリー交換アラームは,装置寿命にも達している可能性があるのです。

バッテリー交換の際は,ぜひUPS本体の寿命も確認してみてくださいね。

詳細ページ:UPS(無停電電源装置)の寿命や耐用年数,交換時期はいつ?

UPS本体の寿命

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4. UPS(無停電電源装置)のバッテリー交換方法,処分,廃棄方法は?

バッテリーの交換時期が来たら,どうやってバッテリー交換を行い,古いバッテリーはどのように廃棄すればよいのでしょうか?

バッテリーの交換方法:小容量UPSの場合

メーカーにより異なりますが,当社製品の場合,小容量のUPSであれば,お客さまご自身で簡単にバッテリー交換を行っていただける機種もございます。

一例として,当社製品”SANUPS E11B”のバッテリー交換方法をご紹介します※1

  • ① UPS正面パネルを外し,バッテリーコネクタを抜きます。
  • ② バッテリー押さえ金具を外し,バッテリーパックを取り出します。
  • ③ 新しいバッテリーパックを挿入し,バッテリー押さえ金具,バッテリーコネクタ,正面パネルを順に戻します。
  • ④ その後操作パネルにてバッテリー情報のリセット作業を行い,バッテリー交換の作業は終了となります。

※1 機種により交換方法は異なります。必ず製品ごとの操作手順をご確認ください。
UL/CEなどの海外規格品の場合は,規格の制約により,メーカーにバッテリー交換をご依頼ください。

動画:無停電電源装置SANUPS E11B - バッテリ交換について

バッテリーの交換方法:ご自身で交換いただけないUPSの場合

当社製品の場合,小容量のUPSの一部と中大容量UPSについては,お客さまご自身ではバッテリー交換を行って頂くことができません。その際は,UPSを購入された販売店,代理店,もしくは当社までお問い合わせください。

お客さまご自身でバッテリー交換を行って頂ける機種かどうかは,こちらをご確認ください:UPS交換用バッテリのご案内

使用済みバッテリーの処分,廃棄方法は?

当社UPSのバッテリーの場合,山洋電気の箱に入れ,交換手順書に記載の住所までご返送※2ください。
ご自身で破棄される場合は,家庭用UPSバッテリーを除き,産廃業者にお引渡しください。

※2 送料はお客さまのご負担となります。バッテリーパック以外のものが同梱されている場合や,指定外の箱をご使用の場合等,お受け取りできない場合がございます。

5. バッテリー交換のタイミングは,UPS(無停電電源装置)本体の交換時期かも!?

バッテリー交換の時期がきたら,バッテリー寿命だけでなく,装置寿命が来ていないか確認をお勧めしています。というのも,バッテリーの寿命は一般的な鉛蓄電池です2~5年のものが多いです。一方UPS本体の寿命は5~15年ですので,1回目もしくは2回目のバッテリー交換アラームは,装置寿命にも達している可能性があるのです。

バッテリー交換の際は,ぜひUPS本体の寿命も確認してみてくださいね。

詳細ページ:UPS(無停電電源装置)の寿命や耐用年数,交換時期はいつ?

UPS本体の寿命

UPSお買い換え時の選定には

こちらの資料に,UPS選定の際に必要な情報や概要をまとめてございます。
是非ダウンロードしてお役だてください!

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6. 【失敗談】まだ使えるかなと思っていたら…

バッテリー交換の時期を認識していたものの

H氏の勤務する食品加工工場では,自動ラベラーのバックアップのためUPSを設置しています。UPSは導入して10年近くが経過していましたが,故障もせず順調な稼働をしていました。

そんなある日,UPSのアラームがなりました。調べてみたところ「バッテリーの交換時期が来ている」という警告であることが分かりました。交換の必要性は感じたものの「スマートフォンのバッテリーだってある日突然使えなくなるわけじゃない。他の装置のメンテナンスのタイミングで,まとめてやればいいかな。」と軽い気持ちでバッテリー交換を後回しにしてしまったのです。

強風で樹木が倒壊し停電が発生!想定していたバックアップができず…

そんな3月のことでした。H氏はいつものように工場で勤務をしていましたが,突然停電が発生してしまいました。原因は後でわかったのですが,その日の強風によって工場付近の樹木が倒壊し,電線同士が接触してしまい,停電を引き起こしてしまったようです。

「停電はしばらく続きましたが,発電機をしっかり用意していたので,ある程度の時間の停電では工場の稼働には影響が出ないはずでした。ですが,発電機から電気を供給するまでの間電力を供給してくれるはずのUPSが,想定していた時間のバックアップを行ってくれなかったのです」H氏は当時のことを振り返りながら,こう続けました。

「想定しているバックアップ時間は,発電機から電気が供給されるまでの約1分間でした。しかし,バッテリー交換を適切なタイミングで行っていなかったことにより,半分くらいの時間で電源供給が止まってしまったのです。そのことにより,ラベルがしっかりと貼られていないロットが発生してしまい,手作業でリカバリーするのが非常に大変でした。」

またその後バッテリー交換を行った際,UPS本体もあと半年程度で寿命が来ることが分かりました。メンテナンスコストも考慮して,H氏の工場ではUPS本体の買い替えを行ったそうです。「バッテリーもUPSも管理をしっかりと行い,安心して工場が稼働できるよう,日々心掛けています。」(H氏)

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監修:山洋電気株式会社 営業本部 シニアテクニカルアドバイザー 博士 泉谷 清髙

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