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【工場の種類別 UPSの選び方ポイント】製鉄所

製鉄所におすすめのUPS(無停電電源装置)とは?

製鉄所は,常に高温の厳しい環境下で,多くの機器やシステムが絶えず稼働しています。広大かつ,重大な事故につながるリスクを孕む製鉄所において,生産性と安全性を維持するためには,UPS(無停電電源装置)による電力の安定供給が非常に重要な役割を果たします。

この記事では,製鉄所における代表的なバックアップ対象装置として,計装システム,中央監視システム,プロコン(プロセスコンピュータ)を取り上げ,それぞれに適したUPSや求められる性能・機能について詳しく解説します。

製鉄所でのUPSの代表的なバックアップ装置①:計装システム

計装システムとは

計装システムは,温度センサーや圧力センサーなどの情報を集め監視する装置です。これには,温度,圧力,流量などを測定器で測定し,データに基づいて危険を回避したり,機器を自動的に制御する機能が含まれます。

製鉄所のような常に高温の厳しい環境下で稼働する工場では,生産設備が短時間停止するだけでも,生産性ならびに安全性への甚大な影響が出るため,配管ごと,特定の距離など,非常に多くの計装機器が設置されています。

計装機器

計装システムにUPSが必要な理由

停電などの電源トラブルによる計装システムの停止は,生産プロセスの不安定化や製品の品質低下はもちろんのこと,安全性に重大な影響を及ぼすリスクがあります。例えば,溶解工程などでの温度センサーの計装システムが正常に動かなくなってしまった場合,爆発事故や工場火災を発生させてしまい,周囲に甚大な被害を出してしまうリスクが考えられます。

計装システムで常に安定した制御を行うために,UPSによるバックアップが不可欠です。

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計装システムをバックアップするUPSとは

計装システムの種類と規模に応じて,適切なサイズのUPSを選択する必要がありますが,1kVA~3kVA,大きくても5kVAで十分な場合が多いです。

バックアップ時間は,非常用発電機と併用している場合は,発電機が起動する1分程度を補うために,5分程度。発電機を併用しない場合は,停電などの停電トラブルが復旧するまでの,数十分から数時間のバックアップが必要です。

計装システムをバックアップするUPSに求められる機能

計装システムをバックアップするUPSは,メンテンスのしやすさがとても重要です。広大かつ高温の厳しい環境下で稼働する製鉄所では,配管ごと,特定の距離ごとなど,非常に多くの計測・制御機器が設置されています。そして,UPSの台数は大きい工場であれば数千台にのぼります。

各工場では,UPSのメンテナンス管理を表計算ソフトなどで行っている場合が多く,バッテリー交換等のメンテナンスには非常に多くの労力が必要になります。鉛蓄電池バッテリーUPSの場合,バッテリー寿命は2~5年と言われているのに対し,リチウムイオン電池は寿命が約10年※1です。10年というのはUPSの装置期待寿命と同等※2のため,一度もバッテリー交換をすることなく,UPS買い替え時期を迎えることができ,メンテナンスの手間を格段に減らすことができます。
こちらの記事もおすすめ:UPSのリチウムイオン電池と鉛蓄電池を徹底比較!

また計測・制御機器用のUPSでは,高い信頼性と無瞬断で電源供給を行う能力が求められます。

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※1 周囲温度が25℃の場合。
※2 SANUPS A11Kシリーズの場合。

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製鉄所でのUPSの代表的なバックアップ装置②:中央監視システム

中央監視システムとは

計測・制御機器を含めた,工場内の様々な設備を束ねて監視・制御を行っている設備です。工場全体の設備を1つの監視室でモニタリングしています。

中央監視室

中央監視システムにUPSが必要な理由

製鉄所は,事故が甚大な被害につながってしまうという性質から,絶え間ない監視・制御が必要です。停電などの電源トラブルで監視・制御ができなくならないよう,UPSの設置が重要になります。

中央監視システムをバックアップするUPSとは

中央監視システムの規模に応じて,適切なサイズのUPSを選択する必要がありますが,20kVA~50kVAの場合が多いです。

バックアップ時間は,非常用発電機と併用している場合は,発電機が起動する1分程度を補うために,5分程度。発電機を併用しない場合は,停電などの停電トラブルが復旧するまでの,数十分から数時間のバックアップが必要です。

中央監視システムをバックアップするUPSに求められる性能

中央監視システムは,停電時無瞬断で電力を供給することが重要です。例えば停電の際に電力の供給が止まってしまい,中央監視システムが止まってしまった場合,工場内の設備を監視できない時間が発生します。その間に事故が起こってしまった場合,爆発事故や工場火災などの甚大な被害につながってしまうリスクがあるため,常時インバータ給電方式パラレルプロセッシング給電方式などの,無瞬断で電力供給ができるUPSの選定がおすすめです。

また並列冗長タイプのUPSでしたら,万が一UPSに故障が発生した際でも他のUPSから給電を続けることができ,安心です。

容量の大きなUPSはそれだけ電力の消費も多くなりますので,パラレルプロセッシング給電方式のUPSであれば変換効率がよく,省エネにも貢献します。
こちらの記事もおすすめ:消費電力50%以上,10年間で電気料金300万円以上削減!?

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製鉄所でのUPSの代表的なバックアップ装置③:プロコン

プロコンとは

製造ラインの計画,製造,出来高など生産工程を総合的に管理・制御するシステムです。生産計画等を行う上位ビジコン(ビジネスコンピュータ)と,下位PLC/DCSとの間に位置します。リアルタイムでプロセスデータを収集,分析し,プロセスのパフォーマンスを最適化するための指令を出力します。

プロコンにUPSが必要な理由

製鉄所でのプロセスの自動化を担っているプロコンが停止した場合,すぐに再起動すればよい,などというわけにはいきません。停止した原因や,復旧にあたって異常が残っていないかなど,入念な確認が必要になり,大変な労力がかかります。またプロコンの停止自体が事故を引き起こすリスクもあります。

そのため,プロコンは停止が許されない工場設備であり,電源トラブルなどの対策に,UPSは非常に大切です。

プロコンをバックアップするUPSとは

プロコンの種類と規模に応じて,適切なサイズのUPSを選択する必要がありますが,1kVA~5kVAで十分な場合が多いです。

プロコンをバックアップするUPSに求められる性能

プロコンは,停止が許されない工場設備です。停電などのいざという時に,プロコンに電力供給する役割を果たすUPSが故障しているなどとなっては,元も子もありません。並列冗長タイプのUPSでしたら,万が一UPSに故障が発生した際でも他のUPSから給電を続けることができ,安心です。

またプロコンをバックアップするUPSでは,高い信頼性と無瞬断で電源供給を行う能力が求められます。

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監修:山洋電気株式会社 営業本部 シニアセールスエンジニア 西澤 敏幸

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