各種鋼材・鋳鋼製品などを手掛ける素材メーカーN社。同社はこのほどBCP(事業継続計画)強化の一環として,自社工場の災害対策シミュレーションを実施したところ,溶解炉の送風システムに課題があることが発覚しました。N社生産設備部のU部長はこう語ります。
「溶解炉は24時間365日稼働しており,常に送風システムによって温度管理をおこなっています。停電時も温度管理をおこなえるように,非常用電源を用意しているのですが,停電が起きてから非常用電源に切り替えるまでに生じる,約5分間のタイムラグが問題になることが判明したのです。釜が高温状態のままで,送風システムが5分も止まってしまうと,釜が破損する可能性があり,最悪の場合,火災などの事故につながる恐れがありました。」
U氏は急遽UPSの導入を検討し,付き合いのある業者に機種の選定を依頼しました。しかし,返ってきた提案は想定より大幅なオーバースペックでした。
「当社としては送風システムの定格容量に合わせてUPSを選定すれば問題ないと思っていたのですが,送風システムの突入電流(*)は定格値の5倍にもなるため,そのピークに合わせてUPSを選定する必要があるそうです。その出力容量は想定を大幅に超えていました。UPSの出力容量が大きくなると,導入コストも運用コストも想定より高くなりすぎてしまいました。」(U氏)
(*)電気機器において電源を投入した際に,初期段階で定格電流値を超えて一時的に流れる大電流。
詳しくは停電の基礎知識と対策:突入電流や高調波による電源トラブル
UPSの選定に悩んでいたU氏は,とある展示会に参加した際に山洋電気ブースに立ち寄り,課題を相談しました。
山洋電気の担当者は,U氏より詳細をヒアリングした後に,出力容量100kVAのパラレルプロセッシング給電方式UPS「SANUPS E33A」を提案しました。この提案にU氏は強く興味を持ちます。
「パラレルプロセッシング給電方式の過負荷耐量は0.5秒間で800%と高く,突入電流に十分耐えられるため,突入電流にUPSの定格出力容量を合わせる必要がないとのことでした。」(U氏)
さらに,U氏を惹きつけたのは,パラレルプロセッシング給電方式の高い給電品質と高い変換効率でした。
「パラレルプロセッシング給電方式は商用電源と双方向インバータが並列になっている給電方式です。通常時は双方向インバータで商用電源を補正しながら供給し,停電時は完全無瞬断で電源を供給するため,高い給電品質かつ98%の高い変換効率を実現しているそうです。
溶解炉は常に稼働しているため,UPSの変換効率によって,年間費用も大きく変わります。山洋電気のパラレルプロセッシング給電方式なら,消費電力をセーブしつつ,高品質の電力が得られます。これなら安全性だけではなく,コスト面も大きく抑えられます。まさに求めていたものに出会えた思いでした。」(U氏)
※1kWh=15円税込で計算(2023年4月時点 当社推定値)
※特別高圧は契約により単価が異なるため,詳細は契約内容を確認してください。
また,課題となっていた導入・運用コストや装置の設置スペースについても,解決できました。
「出力容量のランクを下げることで,輸送費や工事費などの初期費用が大幅に抑えられることがわかりました。他社から提案された機種より約1/2の出力容量で済んだことで,設置スペースの削減もでき,社内からも高評価を得られました。」(U氏)
社内会議の末に,N社は山洋電気製のパラレルプロセッシング給電方式UPS 「SANUPS E33A」の正式採用を決定しました。
「今回提案されたパラレルプロセッシング給電方式のUPSは,環境負荷もコスト面も両立した提案でした。おかげで送風システムの停電対策を無事に完了させることができました。当社の要望を十分汲んだ提案に感謝しています。」(U氏)
パラレルプロセッシング給電方式について詳しくは「パラレルプロセッシング給電方式のUPS」もご覧ください。
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