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UPSの疑問を解決

UPS(無停電電源装置)とは?活用目的や必要性・用途を解説

1. UPS(無停電電源装置)とは?

UPS(無停電電源装置)とは,停電が起きてしまったときに電気を一定時間供給し続けるための装置です。英語では「UPS(Uninterruptible Power Supply)」と呼ばれています。
このUPS(無停電電源装置)があることでパソコンやハードディスク,サーバ,モデム,ルータなどを予期せぬ停電から守ることができ,ひいては重要なデータや製造機器も守ることができます。

UPS(無停電電源装置)は,停電時どのようにして電気を流し続けるのでしょうか。その仕組みは,実は単純です。

オフィスや家庭でよく利用する「延長コード」をイメージしてください。これは壁の電源につないだコードの先に複数の差し込み口がついており,そこにつないだ機器に電気を送るものです。UPS(無停電電源装置)は,この延長コードに蓄電機能が備わったものだと考えるとわかりやすいでしょう。

まずは,電源からUPS(無停電電源装置)に送電。その先にある機器にはストレートに電気を流し,それと同時にUPS(無停電電源装置)内の蓄電池に電気を蓄えます。そして停電などの非常時には,蓄電池から各機器に給電。これによって一瞬も止めることなく,電気を供給し続けられるのです。

UPS(無停電電源装置)に使われている蓄電池にはいくつかの種類ありますが,鉛蓄電池とリチウムイオン蓄電池が一般的です。

鉛蓄電池は,自動車のバッテリーにも採用されています。導入時の初期費用は低く抑えられるものの,約3~5年で交換しなければいけないのがデメリットです。

一方のリチウムイオン蓄電池なら初期費用はやや高いものの,約10年間は交換不要。同じ体積で鉛蓄電池よりも多くの電気を蓄えられるので,その分だけ機器を長時間守れるのがメリットです。※

今後,UPS(無停電電源装置)にはリチウムイオン蓄電池が使われるようになっていくと考えられています。

※詳しくは,「リチウムイオン電池は高いと思っていませんか?UPS(無停電電源装置)のバッテリー寿命を比較!」でご説明しています。

2. UPS(無停電電源装置)と非常用発電機の違い

UPS(無停電電源装置)と発電機には,どのような違いがあるのでしょうか。

UPS(無停電電源装置)は蓄電池を内蔵しています。万一,停電が起きたときには,蓄電池からの給電に自動で切り替わるので,切れ目なく各機器に電気を送り続けられるのが特長です。ただし,一般的なバックアップ時間は5~10分程度なので,長時間の停電には耐えられません。システムの安全なシャットダウンや発電機が起動するまでの繋ぎとして利用するといいでしょう。

発電機は,停電が発生してから起動するのが一般的です。実際に発電するまでに1分程度かかってしまうため,そのあいだは各機器への送電がストップしてしまいます。その一方で,ガソリンや軽油といった燃料さえあれば発電を続けられるので,長時間にわたり停電が続く場合に効果的です。

3. UPS(無停電電源装置)の活用目的と必要性

UPS(無停電電源装置)は,民間企業か行政機関かを問わず「なくてはならないもの」になっています。常に動かし続けなければならないシステム,顧客や金銭に関わるデータ,必要な手順を踏まなければ破損してしまう機器など,産業や生活の基盤には電気を必要とするものであふれているからです。

停電対策として使う場合の必要性

UPS(無停電電源装置)が必要になるのは,まず日常で起こり得る停電時です。

たとえば,強風に飛ばされたビニールハウスなどが電線に絡まったり,トタンなどが電線を損傷したりすることで停電が起きることがあります。鳥が電線や電柱のうえで営巣し,その材料として使われた針金ハンガーなどが電線に触れて停電になることもあります。これ以外にも,海上を通した送電線を船が切断したことによって停電したこともありました。発電所から変電所,変電所から変電所,変電所から各企業,各家庭は電線によってつながれています。そのどこにトラブルが起きても停電は起きてしまうのです。

もちろん,日本は世界的に見ても,停電の発生しづらい国だと考えられています。しかし,頻度は問題ではありません。たった1回の停電でもシステム障害やデータの消失といったリスクがあります。UPS(無停電電源装置)を利用して,電気の供給が止まらない仕組みを構築しておくことは非常に重要なことです。

予備電源装置・非常電源装置としての必要性

地震や台風,火災といった災害時の予備電源・非常電源装置としても,UPS(無停電電源装置)は必要です。こういった場合の停電は長時間に及ぶことがあります。UPS(無停電電源装置)の一般的なバックアップ時間は5~10分です。まずはUPS(無停電電源装置)で給電しているあいだに,システムやパソコンを安全に終了するといいでしょう。

ただ,停電が続くあいだにも動かし続けなければならないシステムがあります。この場合,UPS(無停電電源装置)だけでは対応できません。UPS(無停電電源装置)と発電機を併用するといいでしょう。鉄道などのインフラに関わる企業は,重要なシステムに3~8時間電気を供給できるUPS(無停電電源装置)と発電機を準備している場合もあります。

4. UPS(無停電電源装置)の製品一覧

UPS(無停電電源装置)には、さまざまな方式の製品があります。主に、常時商用給電方式、ハイブリッド方式、常時インバーター給電方式、パラレルプロセッシング給電方式の4つの方式があります。

常時商用給電方式UPS

電力の変換ロスが少ない方式です。停電時に若干の瞬断があるので,監視カメラなど瞬断が気にならない用途に最適です。

ハイブリッド方式UPS

UPSが最適な給電モードを自動的に選択する方式です。高い給電品質を持ち電力ロスが少ないので,工作機器制御部やエレベータなどに最適です。

常時インバーター給電方式UPS

インバータを通して常に安定した電力を供給するので特に給電品質の高い方式です。停電時には完全無瞬断で電力を切り替えます。通信基地局,通信サーバなどに最適です。

パラレルプロセッシング給電方式UPS

双方向インバータが力率の補正やノイズを吸収するため電源側の電力品質を改善します。停電時には完全無瞬断で電力を切り替えます。効率も高く,生産設備などの動力機器に最適です。

具体的な製品一覧については、「山洋電気の無停電電源装置(UPS)の製品一覧」をご確認ください。

5. UPS(無停電電源装置)の主な用途

UPS(無停電電源装置)は,実際にはどのように利用されているのでしょうか。

パソコン・PC用にUPS(無停電電源装置)を使う

停電時に電気を供給し続けなければならないものとしてイメージしやすいのはパソコンです。パソコンに保存されたデータは,停電によって急に電気が供給されなくなると消失してしまうことがあります。最悪の場合パソコンのシステム自体が壊れてしまい,データを復元できなくなるかもしれません。

また,パソコンの周辺機器へデータを保存しておくことも大切です。特に現在はインターネットに接続することを前提に業務が進んでいることがあります。企業の顧客管理や受発注,経理などのデータはクラウドに保存され,ネットに接続しないとソフトの起動さえできないことも少なくありません。停電中にも業務を続ける必要がある場合は,UPS(無停電電源装置)と発電機を組み合わせて電気をバックアップする必要があります。

サーバ用にUPS(無停電電源装置)を使う

サーバにはシステムやWebサイトメールなどの,あらゆるデータが保管されています。停電によってシステムの誤作動やデータの損傷が起きれば,会社全体に大きな損害が発生しかねません。こうした事態を未然に防止するためにも,UPS(無停電電源装置)が必要です。

近年ではUPS(無停電電源装置)とサーバをLANで接続して,データの安全を図る仕組みが構築されています。まず停電が発生すると,無停電電源装置がサーバに電力を供給。停電が長引き,例えばUPS(無停電電源装置)のバッテリー残量が50%を切った場合は,自動的にサーバが安全にシャットダウンするようプログラムしておくのです。これによって,サーバ内のシステムやデータを守ることができます。

産業用にUPS(無停電電源装置)を使う

UPS(無停電電源装置)を利用すべき産業はたくさんあります。

医療現場では

医療現場はUPS(無停電電源装置)を必要とする代表例です。病院には手術室や集中治療室(ICU),新生児集中治療室(NICU)など,人命に係わる医用室があります。これらの現場には患者監視装置(生体情報モニタ)をはじめ,さまざまな医療機器があるものです。万一停電が起きたら,救えたはずの命を失うことになりかねません。UPS(無停電電源装置)を利用して,電気を供給し続けることは非常に大切です。

また,イメージしづらいですが,医療用器具を製造する現場も電気を止めるわけにはいきません。たとえば,注射器を製造する過程はすべて無菌状態に保たれています。その工程のどこかで電気が止まってしまえば,無菌状態を維持できなくなってしまいます。たとえ電気の復旧のためだとしても人間が無菌のスペースに入れませんので,UPS(無停電電源装置)を使って生産ラインを動かし続けなければならないのです。

また,低温で保管しなければならないワクチン用保冷庫,ディープフリーザーなどもUPS(無停電電源装置)による停電対策が重要です。停電により庫内の温度が上昇すると,ワクチンが変質する恐れがあります。

金融現場では

金融の現場にも,UPS(無停電電源装置)は必須です。たとえば銀行の勘定系システムが停電によってストップすると,窓口取引だけでなく,ATMやインターネットバンキングでの取引もできなくなってしまいます。さらに,万一データセンターで電気の供給が止まってしまえば,勘定系のデータがすべて消失しかねません。

そのため,銀行や証券会社などの金融関係企業では,複数系統のUPS(無停電電源装置)を導入しています。それだけでなく,それぞれの無停電電源装置を別々の場所に設置。地震による一部建物の破壊など物理的な損傷まで想定して,電気を安定的に供給できるシステムを構築しています。

生産現場では

工場などの生産現場は人命を扱っているわけではないため,UPS(無停電電源装置)は不要だと考えてしまうかもしれません。しかし,やはりUPS(無停電電源装置)が必要な現場はあります。

たとえば,生産現場で使われるものに研削盤があります。航空機のエンジン関係部品,自動車のブレーキディスク,パソコンなど家電製品のモーターに使われるベアリングといった人間の生活に関わるあらゆるパーツをミクロン単位で細かく調整するツールです。この研削盤は機械によって制御されており,最適な位置関係と力加減で対象物を加工します。

もし,研削盤を稼働させているときに停電が起きてしまったらどうなるでしょうか。高速で回転している研削盤は加工にふさわしい位置関係と力加減を失い,対象物や研削盤が壊れてしまうかもしれません。さらに,割れた砥石の破片で機械自体が破損することもあります。そうなれば,甚大な経済的損害が発生しかねません。

また,3Dプリンターを使うような場合にもUPS(無停電電源装置)が必要です。長い時間をかけて作るようなモノは,中断した作業を続きから再スタートできないことがあります。UPS(無停電電源装置)があれば,停電中も作業が止まることがありません。

このようにUPS(無停電電源装置)を利用することで生産設備や対象物の破損や,生産工程のやり直しを防ぐことができます。停電による生じうる損害とUPS(無停電電源装置)のコストを比較して必要だという判断になったら,導入を具体的に検討してみていいでしょう。

6. UPS(無停電電源装置)の活用事例

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執筆協力:山洋電気株式会社 営業本部 シニアセールスエンジニア 西澤 敏幸

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