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【工場の種類別 UPSの選び方ポイント】半導体工場

半導体工場におすすめのUPS(無停電電源装置)とは?

最も精密な電子部品である半導体を製造する工場では,他業種の工場と比べ,極限まで精度が求められる高度な精密機器を多用します。それらの機器は,わずかな電力の変動や環境条件の変化にも敏感であり,そのために厳格な環境管理が必要です。そのため半導体工場における電力供給の安定性と信頼性は極めて重要で,わずかな瞬低が高額の損失に繋がるリスクもあります。

この記事では,半導体工場における代表的なバックアップ対象として,半導体製造装置,ライン・フロアなどの大規模なバックアップ対象,計装システム,を取り上げ,それぞれに適したUPSや求められる性能・機能について詳しく解説します。

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半導体工場でのUPSの代表的なバックアップ装置①:半導体製造装置

半導体製造装置とは

半導体製造の各工程で使用される,半導体製造装置の種類は非常に多く,全体で約170※1にのぼります。半導体はその製造工程の多さで有名ですが,それぞれの工程で使用する半導体製造装置も非常に数が多くなります。

※1 日本半導体製造装置協会「半導体製造装置分類表」を参照し,当社で集計。

半導体製造装置にUPSが必要な理由

半導体メーカーの工場にはたくさんの半導体製造装置があり,そのどれか1つの装置にトラブルが起こってしまった場合でも,ロット不良が発生してしまうなどの損害が発生します。

半導体製造装置は,装置メーカー側のSEMI規格(SEMIスタンダード,SEMI国際標準)のSEMI F47で,電圧サグイミュニティ(瞬時電圧低下に対する耐性)についての規定があります。そのため,UPSは半導体工場側で用意するのではなく,半導体製造装置メーカーでの製造時に,UPSが搭載されている場合がほとんどです。

半導体製造装置をバックアップするUPSとは

半導体製造装置の種類と規模に応じて,適切なサイズのUPSを選択する必要がありますが,制御部のみのバックアップの場合,1kVA~3kVA,大きくても5kVAで十分な場合が多いです。一方,半導体製造装置全体をバックアップする場合は,100kVA以上の大容量UPSが必要になります。

バックアップ時間は,1~5分程度を選択する場合が多いです。

半導体製造装置をバックアップするUPSに求められる機能

①バッテリー長寿命

半導体の生産工程は非常に精密で製品も高価なため,半導体製造装置を一度止めてメンテナンスするのに非常に労力がかかります。半導体製造装置に組み込まれているUPSをメンテナンスする場合も同様です。鉛蓄電池バッテリーUPSの場合,バッテリー寿命は2~5年と言われているのに対し,リチウムイオン電池は寿命が約10年※2 という点を踏まえ,バッテリー長寿命なリチウムイオン電池UPSを搭載することで,装置の価値を高めることができます。
こちらの記事もおすすめ:UPSのリチウムイオン電池と鉛蓄電池を徹底比較!

※2 SANUPS A11Kシリーズの場合。

②海外規格

半導体製造装置は,海外の生産拠点で使用するケースも多くなります。特に,UL規格取得/CEマーキングを宣言しているUPSは,アメリカ・EUなどへ輸出することができるので,重宝されます。
こちらの記事もおすすめ:UPSを海外で使用する際の注意点や,安全規格について解説!

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半導体工場でのUPSの代表的なバックアップ装置②:ライン全体,フロア全体などのバックアップ

ライン全体,フロア全体などのバックアップとは

半導体製造装置の制御部バックアップは,個々に組み込まれているUPSで電源トラブル対策を行います。一方,生産ライン全体,空調設備全体,フロア全体など,もっと大きな枠での停電対策も,半導体工場ではマストです。

例えば雷で1秒未満の電圧低下が起こったとします。個々の半導体製造装置の制御部はUPSにより正常に稼働したものの,半導体製造装置の動力部が停止してしまい,生産を続けることができません。そして半導体製造装置を再稼働させるためにかなりの時間がかかりますから,半導体工場の場合,非常に多額の損害を出してしまいます。

ライン全体,フロア全体などのバックアップするUPSとは

ライン全体,フロア全体をバックアップするには,大型のUPSが必要になります。大型の工場の場合200~300kVAのUPSを,10台以上設置することも珍しくありません。高額な設備投資にはなりますが,半導体というそれだけ高価な製品を作る工場では,電源トラブル対策を行うことによって,停電によって億単位にのぼることもある損害を防ぐことができます。

ライン全体,フロア全体などのバックアップするUPSに求められる機能

ライン全体やフロア全体をバックアップするUPSは非常に大型で,使用する電力も大きくなります。そのため,電力効率のよい省エネなUPSを選ぶことで,多額の電気代を節約することができます。
当社の場合,パラレルプロセッシング給電方式のUPSは,電力の変換効率がよく省エネに役立ちます。

例えば以下のようなUPSと比較した場合,パラレルプロセッシング給電方式のUPSでは,10年間で300万円以上※3の電気代を節約することができます。また昨今では電気代の高騰だけでなく,2026年に始まる排出量取引も注目されていることから,省エネのUPSの必要性は今後ますます大きくなっていくかもしれません。

※3  1kWh=15円税込で計算(2023年4月時点 当社推定値)
    特別高圧は契約により単価が異なるため,詳細は契約内容を確認してください。

こちらの記事もおすすめ:消費電力50%以上,10年間で電気料金300万円以上削減!?

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半導体工場でのUPSの代表的なバックアップ装置③:計装システム

計装システムとは

計装システムは,温度センサーや圧力センサーなどの情報を集め監視する装置です。これには,温度,圧力,流量などを測定器で測定し,データに基づいて危険を回避したり,機器を自動的に制御する機能が含まれます。

半導体工場のような大規模な工場では,生産設備が短時間停止するだけでも,生産性に甚大な影響が出て,多額の損失を引き起こす恐れがあるため,非常に多くの計装機器が設置されています。

計装機器

計装システムにUPSが必要な理由

計装システムの電源は,単相100V系である場合が多いです。一方,フロア全体・ライン全体は三相200V/400V系が多いです。つまり,フロア全体・ライン全体のバックアップでは計装システムをバックアップすることはできず,別で電源トラブル対策をする必要があります。

そして停電などの電源トラブルによる計装システムの停止は,生産プロセスの不安定化や製品の品質低下を引き起こします。そして高価な製品である半導体の場合,その影響は多額の損失を引き起こす恐れがあり,対策が必要です。

計装システムをバックアップするUPSとは

計装システムの種類と規模に応じて,適切なサイズのUPSを選択する必要がありますが,1kVA~3kVA,大きくても5kVAで十分な場合が多いです。

バックアップ時間は,非常用発電機と併用している場合は,発電機が起動する1分程度を補うために,5分程度。発電機を併用しない場合は,停電などの停電トラブルが復旧するまでの,数十分から数時間のバックアップが必要です。

計装システムをバックアップするUPSに求められる機能

計装システムをバックアップするUPSは,メンテンスのしやすさがとても重要です。広大な面積を有する半導体工場では,配管ごと,特定の距離(例えば50m)ごとなど,非常に多くの計測・制御機器が設置されています。そして,UPSの台数は大きい工場であれば数千台にのぼります。

各工場では,UPSのメンテナンス管理を表計算ソフトなどで行っている場合が多く,バッテリー交換等のメンテナンスには非常に多くの労力が必要になります。鉛蓄電池バッテリーUPSの場合,バッテリー寿命は2~5年と言われているのに対し,リチウムイオン電池は寿命が約10年※2です。10年というのはUPSの装置期待寿命と同等※4のため,一度もバッテリー交換をすることなく,UPS買い替え時期を迎えることができ,メンテナンスの手間を格段に減らすことができます。
こちらの記事もおすすめ:UPSのリチウムイオン電池と鉛蓄電池を徹底比較!

また計測・制御機器用のUPSでは,高い信頼性と無瞬断で電源供給を行う能力が求められます。

Liならバッテリー長寿命

※2 周囲温度が25℃の場合。
※4 SANUPS A11Kシリーズの場合。

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監修:山洋電気株式会社 営業本部 シニアセールスエンジニア 西澤 敏幸

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