各種工作機械の製造・販売をおこなうW社。同社ではこのほど,新たな「レーザー加工機」の開発に取り組んでいました。この次期モデルは市場シェア拡大のための戦略的製品として位置付けられるもので,開発チームは品質はもとよりコスト面においても,海外の競合メーカーに対し競争力を持つことを第一の目標として指示されていました。W社開発設計部のR氏はこう語ります。
「コスト削減のために装置全体の仕様を見直し,サーボシステムをステッピングシステムに置き換えることを検討しました。しかし,試作機で検証した結果,加工品質は著しく低下してしまいました。ステッピングシステムはモータからのフィードバック信号が無い“オープンループシステム”のため,モータの不意な脱調によるエラー検出ができなかったのです。」(R氏)
「次に,エンコーダが付いているクローズドループステッピングシステムであれば,振動も少なく,ある程度の加工精度も保てると考えました。しかし,位置偏差,つまり指令パルスに対する追従性の遅れが問題になり,従来のサーボシステムほどの加工品質を得ることはできませんでした。」(R氏)
いかにコストを抑えつつ,海外製品よりも高いパフォーマンスを実現するかR氏は悩んでいました。
悩んでいたR氏は,とある産業用機器の展示会を訪れた際に,山洋電気の豊富なラインアップに興味を持ち,ブース担当者に自社のレーザー加工機の抱える問題を相談しました。
山洋電気の担当者はR氏より課題を細かくヒアリングした後に,「SANMOTION Model No.PB DC電源入力4軸一体型ドライバ」を提案しました。
「SANMOTION Model No.PB DC電源入力4軸一体型ドライバ」には“偏差レスクローズドループ制御機能”が搭載されています。位置指令に対する追従性を高めることで,軸間の同期精度が向上し,滑らかな軌跡を得ることができます。
この提案に興味を持ったR氏はさっそく評価サンプルを入手しました。
「社内で検証した結果,懸念していた切削断面の軌跡の粗さはなく,滑らかな曲線が得られました。クローズドループステッピングシステムでも加工品質が維持できることが分かり,サーボシステムを置き換える際の課題も解決しました。」(R氏)。
「また,1台のドライバで4軸のモータを制御できるので,軸ごとにドライバを組み込んだ仕様と比較するとスペースを削減したうえ,省配線化も実現できました。当初の目標を十分にクリアする,低コストで高パフォーマンスなレーザー加工機の開発に至りました。」(R氏)
W社は数ヵ月後に満を持してレーザー加工機の新モデルをリリースしました。
「海外競合メーカーに対して十分な競争力を持つ製品を生み出すことができたので,各国のお客さまから高い評価をいただき,大量受注にも成功しました。この製品を軸に,今後もグローバル市場での販売強化を図っていく構えです。
なによりも,当社の課題を十分理解したうえで最適なソリューションを提供してくれた山洋電気の提案力には非常に感謝しています。これからもいろいろと相談に乗ってもらいたいと思います。」(R氏)
ステッピングモータについて詳しくは「ステッピングモータとは? 仕組み,種類,使い方(駆動方式・制御方法),メリットや特徴を解説」もご覧ください。
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