近年,中国や東南アジアでも健康への意識の高まりから,医療用検査装置の需要が急激に拡大しています。医療用検査装置の開発・製造・販売をおこなうJ社では,新たに国外向けの小型新モデルを開発することになりました。
J社研究開発部のW部長はこう語ります。
「検査薬や検体の状態は,温度によって変化します。そのため,装置の測定精度を維持するには,装置内の温度上昇をいかに抑えるかがポイントになります。新モデルでは,現行モデルよりも小型化を実現しながら測定精度を維持するために,さまざまな熱対策に苦慮していました。温度上昇の最大の要因はモータの発熱です。そこで今回は,装置内の搬送機構に使っているモータの見直しをおこなうことにしました。
しかし,新モデルの開発スケジュールは非常にタイトなため,短い期間内に発熱の少ない代替モータを探し出せるかどうか不安でした。」(W氏)
それでも可能な限り多くのモータを比較検討するため,チームは手分けして情報を収集しました。
厳しい開発スケジュールと課題を複数のメーカーに相談したW氏は,そのなかの一社である山洋電気の提案に着目しました。
山洋電気の担当者は,早急に現行のモータと同じ仕様の評価用サンプルを手配しました。
「まずは,現行のモータが置き換えできるか,短納期納品サービスで用意できる標準品で評価してほしいとのことでした。」(W氏)
数日後,W氏はさっそくモータの置き換え検証をおこないました。結果として,振動・騒音,トルクなど,基本的な性能は十分であると評価しました。
「課題であったモータの発熱については,モータの巻線仕様をカスタマイズすることで抑えられるとの提案をいただきました。
さらに,シャフト加工のカスタマイズにより装置の部品点数を減らすことができ,機構の簡素化と小型化の実現と,工数の低減も期待できました。」(W氏)
カスタマイズの結果,モータの発熱が低減し,装置の小型化を実現しながら,安定した測定精度の保持を実現しました。
こうしてJ社は,山洋電気製2相ステッピングモータ「SANMOTION F2」の正式採用を決定。数ヵ月後に無事に新モデルの開発を終えました。
「このようにモータのカスタマイズまで提案してくれたのは山洋電気だけでした。無事に装置の改善に成功したのは,山洋電気の高い技術力とノウハウ,および親身なフォローのおかげと感謝しています。今回だけに限らず,これからもいろいろ相談に乗ってもらいたいと思っています。」(W氏)
ステッピングモータについて詳しくは「ステッピングモータとは? 仕組み,種類,使い方(駆動方式・制御方法),メリットや特徴を解説」もご覧ください。
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