
解決事例
病室内で使用される輸液ポンプの静音化を図りたい
モータの音を25%低減!? 取り付け面ダンパ装着の効果
医療機器メーカーE社 (従業員数:約1,000名)
各種医療機器を開発・製造するE社は,このたび新しい輸液ポンプの開発に取り掛かりました。新製品の開発を担当するT氏は,次のように語ります。
「一定の速度で正確に投薬するときに使用される輸液ポンプは,使用頻度の高い医療機器のひとつです。流量を制御するポンプ機構にモータを使っているのですが,病室で長時間稼働し続ける機器なので,モータの振動からくる音は,患者さんを不安にさせたり,睡眠を妨げたりする要因になりかねません。
これまでも静音化の課題はあったのですが,輸液の流量精度を保つことが優先されるため,ある程度のモータ音はやむをえないという認識でした。ですが,患者さんの快適性を向上するためにも,製品の差別化を図るためにも,新モデルでは静音化が重要な開発課題となっていたのです。」
E社は,ポンプ機構に2相のステッピングモータを使用しています。改善手段として最初にあがったのは,現行のステッピングモータを2相から5相に変えることでした。
「5相のステッピングモータに変えることで,ステップ角が小さくなり振動の低減と静音化を実現できます。しかし,この場合はドライバも5相用に変更する必要があります。医療機器には義務づけられている認証があるため,システムを大幅に変更をすると,認証も取り直すことになります。そうなると,評価期間と合わせて認証取得までを含め,開発期間が大幅に延びてしまうため,現実的ではありませんでした。」(T氏)
なるべく現在取得した認証のままで,新モデルの静音化を図りたいT氏は,検討を続けましたが,良い方法が見つかりませんでした。