
困ったM氏は解決策を求めて足を運んだ医療機器関連の展示会で,山洋電気ブースの担当者に課題を伝えました。後日,山洋電気の担当者はA社へ訪問し,課題を詳細にヒアリングしました。
「山洋電気の担当者は,機構の位置ズレの原因について,電気的なものと,機械的なものがあることを丁寧に説明してくれたうえで,調査を実施してくれました。」(M氏)
調査の結果,位置ズレの原因が判明しました。M氏はこう振り返ります。
「撮影機構にあるプーリーとモータをつなぐ部分が,往復動作を繰り返すことで緩むことが原因でした。その解決方法として,モータのシャフトにキー溝加工をするという提案をしてくれました。」(M氏)
また,騒音については,採用したモータのオーバースペックが原因であると判明しました。
「ステッピングモータはトルクが不足すると脱調すると聞いていました。脱調が原因で起こる動作不良は決して許されません。そこで,トルクに余裕があるモータを選んでいました。ですが,まさかそれが原因になっているとは思いませんでした。ステッピングモータはオーバースペックになると,余分なトルクが振動の原因となり,騒音を引き起こしてしまうことが分かりました。」(M氏)
山洋電気担当者は負荷や動作の条件を調査し,最適なモータのサンプルをA社に提供しました。M氏はさっそく試作機にサンプルのモータを搭載し,実機評価をおこないました。
「撮影機構のモータをキー溝加工の2相56角モータに変更したところ,撮影画像のブレも不快な騒音もなくなりました。開発段階の原因特定からサポートしていただき,とても助かりました。」(M氏)
A社はその後,無事に医療用画像診断装置の開発を終了。医療分野への新規参入を果たすことができました。M氏は今後の医療機器開発においても,山洋電気を頼りにしたいと話してくれました。