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解決事例
生化学自動分析装置の測定時間を短縮したい…

高速域でのトルクアップ約1.5倍を達成したステッピングモータのカスタマイズとは

生化学自動分析装置メーカーY社 (従業員数:約1,200名)

Problem

患者獲得競争が激しい大病院や検査機関では,サービスの一環として迅速に検体検査の結果が得られることが要求されており,短時間で高精度に測定できる装置が求められています。

高速域でトルクが出るモータへ置き換えたところ,振動・発熱が問題に…

生化学自動分析装置メーカーY社では,測定のサイクルタイム短縮を目指し新モデルの開発に取り組むなか,モータ選定で課題を抱えていました。製品開発部のM氏は次のように語ります。

「病院や検査機関で使われる生化学自動分析装置では,検体の入った試験管に一定量の試薬を滴下します。そのため,内蔵するモータには,振動が少ない滑らかな動きが求められます。また,発熱により,検体への影響も問題になる可能性があるため,発熱も極力抑える必要があります。さらに,耳障りな音が発生してはなりません。

当社で開発中の新モデルでは,そのような要件を踏まえつつ,さらなる検査速度の向上を目指していました。しかし,より高速域でトルクが出る2相ステッピングモータに置き換えたところ,振動が発生し試薬滴下の正確性に影響が出てしまいました。そのうえ,騒音も大きくなってしまったのです。」(M氏)

M氏はこの結果をモータメーカーに伝えて,ほかのモータの提案を求めましたが,ラインアップに適したモータはありませんでした。
モータから選定し直さなければならず,M氏は頭を抱えていました。

課題
  • 生化学自動分析装置の測定時間を短縮したい。
  • 高速回転でも振動・発熱を抑えられるモータが見つからない。

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Solution

使用条件に合わせたカスタム提案で,低振動,低騒音を実現!

M氏は,情報収集のために訪れた展示会で,山洋電気ブースの担当者に開発中の装置に適したモータについて相談しました。後日,Y社を訪問した担当者は,5相ステッピングモータのカスタマイズを提案しました。

「山洋電気は高効率の低発熱モータをベースに,私たちの使用条件に合わせたカスタマイズの提案を勧めてくれました。高速域で高トルクが必要という要求に対しては使用スピードに合わせて巻線を変更してくれました。また,振動・騒音への対策としてモータの機械的剛性を上げる提案もしてくれました。他社にできなかった提案なので,非常にありがたく感じました。」(M氏)

発熱20%低減,高速域でのトルクアップ約1.5倍を達成

試作品ができあがると,Y氏は早速新モデルに組み込んで評価をおこないました。
「新しいモータは,既存モデルに使用していたモータと比較すると,発熱については20%の低減,高速域でのトルクアップも約1.5倍を達成しました。結果として測定時間の大幅な短縮を実現でき,目標としていた性能を満たす生化学自動分析装置を完成させることができたのです。良いモータを提案してもらえたので,今後ほかのシリーズの装置開発においても性能向上が期待できます。」(M氏)

ステッピングモータについて詳しくは「ステッピングモータとは? 仕組み,種類,使い方(駆動方式・制御方法),メリットや特徴を解説」もご覧ください。

効果
  • 使用条件に合わせたカスタム提案で,低振動,低騒音を実現。
  • 発熱20%低減,高速域でのトルクアップ約1.5倍を達成。

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