機械系商社B社は,東南アジア諸国へ進出した日系メーカーに工作機械などを供給しています。そのようななか,B社は現地の取引先メーカーより生産ラインが突然ストップするという不具合の相談を受けました。海外事業部の部長D氏はこう説明します。
「日系工業団地には,日本と同じ電源仕様が導入され,日本の装置も数多く使用されています。しかし,東南アジアの電源事情は日本よりも不安定なため,停電や瞬低などの電源トラブルが頻繁に起こります。工場団地の生産ラインにある加熱・精密加工の工程では,瞬間的な電源トラブルが加工不良につながります。さらに最悪の場合,発煙や発火の恐れもあります。」
そこでB社は,UPS(無停電電源装置)の導入により電力を安定供給することを提案しましたが,メーカーの担当者は難色を示します。
「工場は高度に自動化されているにもかかわらず,電源トラブル対策には,突然の電源異常に対処する人員がライン監視しているだけでした。また,UPSの存在は知っていましたが,生産ラインに導入すると電力消費に伴う運用コストがネックとなるとの理由で,断念した経緯があります。」(D氏)
情報収集を続けるなかでD氏は,展示会で山洋電気のブースを訪れ,こうした課題を相談しました。後日,山洋電気の担当者がB社を訪れ,詳細をヒアリングし,パラレルプロセッシング給電方式の「SANUPS E23A」を提案しました。
「提案してもらった『SANUPS E23A』は,通常時は商用電源を供給し,瞬低や停電を感知した瞬間,インバータ給電に切り替わる仕組みだそうです。常時商用給電方式のように,切替器を用いた切り替えではないため,停電時は完全無瞬断で切り替えると聞きました。これなら,精密加工のような電力の安定性が重視されるお客さまにも紹介できると思います。」(D氏)
「今まで紹介してきたUPSは常時インバータ給電方式でした。これをパラレルプロセッシング給電方式『SANUPS E23A』にすると,消費電力が1/3程度になるということに驚きました。UPSの給電方式によってこれほどの差があるとは知りませんでした。これで運用コストも大幅に削減できると思います。また,他の機器へ誤動作を与えてしまう高調波(*)を抑制できるということで,お客さまにプラスアルファの提案ができると思います。」(D氏)
*高調波:モータなどから発生する電流のひずみで,電路や接続機器に悪影響を及ぼす。
D氏はさっそく山洋電気の担当者とともに現地に赴き,お客さまにプレゼンテーションをおこないました。
「日系工業団地のお客さまにぴったりの提案だったので,早々に正式発注をいただきました。当社としても,提案製品のラインアップが増えたことは大きなメリットでした。山洋電気には,今後もいろいろなご協力をお願いしたいと思っています。」(D氏)
パラレルプロセッシング給電方式について詳しくは「パラレルプロセッシング給電方式のUPS」もご覧ください。
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